糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:59

Pharmacoequity―SGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬は公正に処方されているか?-(解説:住谷哲氏)

筆者は本論文で初めてpharmacoequityという用語を知った。「処方の公正性」とでも訳せばよいのだろうか。平等equalityと公正equityとの違いもなかなか難しいが、この用語の生みの親であるDr. Utibe R. Essienは、Ensuring that all individuals, regardless of race, ethnicity, socioeconomic status, or availability of resources, have access to the highest quality medications required to manage their health is “pharmacoequity”. と述べている。その意味するところを簡単に言えば、エビデンスに基づいた治療薬を必要とするすべての患者に公正に処方することを担保するのがpharmacoequityである、となる。

エンパグリフロジン、疾患リスク進行のCKDに有用/NEJM

 疾患リスクが進行した幅広い慢性腎臓病の患者において、エンパグリフロジンはプラセボと比較し、リスクの進行や心血管系による死亡の低減に結び付くことが示された。英国・オックスフォード大学のWilliam G. Herrington氏らが、広範囲の疾患進行リスクを有する慢性腎臓病患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験「EMPA-KIDNEY試験」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年11月4日号掲載の報告。  EMPA-KIDNEY試験では、推算糸球体濾過量(eGFR)が20mL/分/1.73m2~45mL/分/1.73m2未満、またはeGFR 45mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2未満で尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が200(mg/g・CRE)以上の慢性腎臓病患者を対象とした。  研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはエンパグリフロジン(10mg 1日1回)を、もう一方にはプラセボを投与した。  主要アウトカムは、腎臓病の進行(末期腎不全、eGFRが持続的に10mL/分/1.73m2未満、eGFRがベースラインから40%以上持続的に低下、腎臓病による死亡)または心血管系による死亡の複合アウトカムだった。

果物の摂取量が多いほどうつ病リスク低下/国立精神・神経医療研究センター

 日本のコホート研究において、野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物(リンゴ、梨、柑橘類、ブドウ、イチゴなど)の摂取が、うつ病のリスク低下と関連するかどうかを調べた結果、果物およびフラボノイドの豊富な果物の摂取量が多いほど、うつ病の発症率が低かったことを、国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らの共同研究グループが発表した。Translational Psychiatry誌2022年9月26日掲載の報告。

非専門医が使える「糖尿病治療のエッセンス」2022年版/日本糖尿病対策推進会議

 わが国の糖尿病患者数は、糖尿病が強く疑われる予備群を含め約2,000万人いるとされているが、糖尿病の未治療者や治療中断者が少なくない。  そこで、糖尿病診療のさらなる普及を目指し、日本糖尿病学会をはじめとする日本糖尿病対策推進会議は、糖尿病治療のポイントをとりまとめて作成した『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』を制作し、日本医師会のホ-ムページより公開した。今回の改訂で5回目となる。

2型糖尿病のCOPD重症化、GLP-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬が有効か/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で2型糖尿病(DM)の患者において、GLP-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬は、スルホニル尿素(SU)薬と比べ、COPD増悪による入院リスクを約30~38%低減することが示された。また、GLP-1受容体作動薬は、中等度増悪リスクを37%低減した。一方でDPP-4阻害薬は、COPD増悪リスクの明らかな低減は認められなかったという。カナダ・マギル大学のRicheek Pradhan氏らが、英国国民保健サービス(NHS)データを基に行った住民ベースの3種実薬比較新規使用者デザインコホート試験の結果で、BMJ誌2022年11月1日号で発表した。

セマグルチド、12~18歳でも優れた抗肥満効果/NEJM

 グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチドは、成人の肥満治療薬として欧米で承認を得ている。オーストリア・Paracelsus医科大学のDaniel Weghuber氏らは「STEP TEENS試験」において、肥満症の青少年(12~18歳未満)に対する本薬の有用性を検討し、セマグルチド+生活様式への介入は生活様式への介入単独と比較して、68週の時点でBMI値の有意な低下をもたらし5%以上の体重減少の達成割合を有意に増加させたが、消化器系の有害事象の頻度が高かったことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月2日号で報告された。

「糖尿病」の名称変更、医師の6割が反対/医師1,000人アンケート

 これまで、病名とその患者の関係性を考えたことはあるだろうか? 近年、糖尿病患者が社会的にスティグマ(偏見)を持たれていることを受け、日本糖尿病協会のアドボカシー活動の1つとして、医療現場の言葉の見直しが検討されている。そのなかに、『糖尿病』という疾患名も含まれており、将来、疾患名が変更されるかもしれない。そこで、ケアネットは会員医師1,028人に対し、緊急のアンケート調査を実施した。

2型DM新規トリプル作動薬、週1回投与で有望な結果/Lancet

 2型糖尿病治療薬として開発中のLY3437943(グルカゴン、GIP、GLP-1の3つの受容体へのアゴニスト活性を有する単一ペプチド)について、第Ib相試験において安全性プロファイルは許容範囲であることが示され、薬物動態から週1回投与が適していることが示唆されたことを、米国・Eli Lilly and CompanyのShweta Urva氏らが報告した。「この所見は、グルコースと体重の強力な減少の薬力学的所見を示すものであるとともに、第II相試験を支持するものである」とまとめている。高血糖と肥満を有する2型糖尿病患者の治療には、多受容体アゴニストが短期および長期のアウトカムを改善することが示されている。LY3437943は、2型糖尿病および肥満関連の併存疾患の治療薬として開発が進められている。Lancet誌オンライン版2022年10月27日号掲載の報告。

医療者も実は…?糖尿病のスティグマを見直す/日糖協の活動

 近い将来、「糖尿病」という病名は使用されなくなるかもしれない。  日本糖尿病協会(以下、日糖協)は、都内開催のセミナーにて、「『糖尿病』という言葉を変える必要がある」と問題意識を明らかにした。現在、日糖協では「糖尿病にまつわる“ことば”を見直すプロジェクト」を推進しており、病名変更もその一環だ。  日糖協理事の山田 祐一郎氏(関西電力病院 副院長)は、「言葉を変える目的は、糖尿病に関するスティグマ(偏見)を減らすことにある。単なる言葉の入れ替えでは意味がない。医療従事者と糖尿病のある方とのコミュニケーションを変えることが重要だ」と述べた。

糖毒性glucose toxicityと進行性β細胞機能不全との関係-再考が必要か?-(解説:住谷哲氏)

1型糖尿病患者のβ細胞機能は診断時に完全に廃絶しているわけではなく、診断後次第に低下していくことが知られている。この進行性β細胞機能不全のメカニズムは明らかではないが、自己免疫および糖毒性glucose toxicityの2つが関与していると考えられている。1型糖尿病診断直後からの抗TNF-α抗体ゴリムマブの投与により、β細胞機能不全の進行が抑制されることが報告されている。糖毒性については、高血糖に起因する細胞内酸化ストレスなどを介してβ細胞機能不全が進行するため、診断直後からの厳格な血糖管理がその進行を抑制するために有効である、と考えられてきた。しかしこの考えを支持するエビデンスは実は十分ではない。いくつかの介入試験がこれまでに報告されているが、その結果はcontroversialである。そこで本試験ではHybrid closed loop(HCL)を用いた厳格な血糖コントロールが、診断直後の1型糖尿病患者における進行性β細胞機能不全を抑制するか否かを検討した。