糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:83

2型DMのCVリスク、SGLT2阻害薬 vs. DPP-4阻害薬/BMJ

 大規模なリアルワールド観察試験において、2型糖尿病患者への短期のSGLT2阻害薬投与はDPP-4阻害薬投与と比べて、重篤な心血管イベントリスクを低減することが示された。カナダ・Jewish General HospitalのKristian B. Filion氏らが複数のデータベースを基に行った後ろ向きコホート研究の結果で、著者は「多種のSGLT2阻害薬にわたる結果であり、SGLT2阻害薬のクラス効果としての心血管効果を示すものであった」と述べている。2型糖尿病へのSGLT2阻害薬投与は増えており、無作為化試験でプラセボ投与と比べて主要有害心血管イベント(MACE)や心不全のリスクを抑制することが示されていた。BMJ誌2020年9月23日号掲載の報告。

HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation公開/日本腎臓学会

 日本腎臓学会は透析患者・保存期腎不全患者用の経口腎性貧血治療薬について「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」を9月29日に学会ホームページ上に公開した。  HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendationは3つに章立てられており、1.総論、2.推奨(どのような患者に使用することが望ましいか、鉄補充をどうすることが望ましいか)、3.注意点(悪性腫瘍、糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症、肝機能異常、高血圧、高カリウム血症、血栓塞栓症、血管石灰化、肺高血圧症/心不全、嚢胞の増大、脂質代謝への影響)が記載されている。

SGLT2阻害薬ertugliflozinの心血管効果は?/NEJM

 2型糖尿病でアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者において、標準治療に加えてのSGLT2阻害薬ertugliflozinの投与はプラセボ投与に対して、主要有害心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合)の発生は非劣性であった。また、副次評価項目の心血管死または心不全による入院の複合アウトカムについて、プラセボに対する優越性は示されなかった。米国・ハーバード大学医学大学院のChristopher P. Cannon氏らが、8,246例超を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験で明らかにした。ertugliflozinは、2型糖尿病の血糖コントロールを改善するとして米国その他の国で承認されている。同薬の心血管効果については、明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2020年9月23日号掲載の報告。

HFrEFへのエンパグリフロジン、心血管・腎への効果は/NEJM

 2型糖尿病の有無を問わず慢性心不全の推奨治療を受けている患者において、エンパグリフロジンの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全増悪による入院のリスクを低下することが、米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らによる3,730例を対象とした二重盲検無作為化試験の結果、示された。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の有無を問わず、心不全患者の入院リスクを抑制することが示されている。同薬について、駆出率が著しく低下した例を含む幅広い心不全患者への効果に関するエビデンスが希求されていたことから、本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。

小児1型DM、クローズドループシステムvs.SAP療法/NEJM

 小児1型糖尿病において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)はセンサー付きインスリンポンプ療法(SAP)と比較して、血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった。米国・バージニア大学糖尿病技術センターのMarc D. Breton氏らが、16週間の多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。クローズドループ型インスリン注入システムは、小児1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月27日号掲載の報告。

カナグリフロジンの下肢切断リスク、65歳以上CVD患者で増大/BMJ

 SGLT2阻害薬カナグリフロジンの下肢切断リスクについて、心血管疾患のある65歳以上において最も明白な増大が認められること、追加有害アウトカムの発生に関する必要治療数(NNT)は6ヵ月で556例(切断例はカナグリフロジン投与1万例当たり18例超)であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のMichael Fralick氏らによる検討で明らかにされた。GLP-1受容体作動薬投与群と比較した下肢切断リスクは1.73倍で、発生率の差は1,000人年当たり3.66であったという。先行研究のカナグリフロジンの心血管アウトカムを検討した試験「CANVAS試験」では、カナグリフロジン群がプラセボ群よりも下肢切断リスクが2倍近く高いことが確認されており、同試験対象者が従前試験よりも10歳以上高齢であったこと、またベースラインの心血管リスクが高かったことから、切断リスクの上昇は限定される可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、日常的ケアにおけるカナグリフロジン投与の、切断リスクを明らかにするものである」と述べている。BMJ誌2020年8月25日号掲載の報告。

2型糖尿病肥満患者、胃バイパス術で代謝機能は改善するか/NEJM

 2型糖尿病を有する肥満患者において、胃バイパス術と食事療法の代謝に及ぼす有益性はほぼ同じで、この有益性は体重減少それ自体に関連している可能性があり、胃バイパス術には体重減少と独立した臨床的に重要で明確な効果はないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学医科大学院のMihoko Yoshino氏らの検討で示された。2型糖尿病の治療では、薬物療法よりも肥満手術のほうが有効であると無作為化臨床試験で示されている。また、Roux-en-Y法による胃バイパス術は、2型糖尿病患者の代謝機能に対し体重減少とは独立の治療効果をもたらすと示唆されている。一方、これらの研究の結果には、手術を受ける患者間の体重減少の差による交絡の影響が認められるという。NEJM誌2020年8月20日号掲載の報告。

FHホモ接合体のevinacumab併用、LDL-Cを40%低下/NEJM

 最大用量の脂質低下療法を受けているホモ接合型家族性高コレステロール血症(FH)の患者において、evinacumabを併用することでLDLコレステロール(LDL-C)値がベースラインよりも大幅に低下したのに対し、プラセボではLDL-C値がわずかに上昇し、24週の時点で群間差が49.0ポイントに達したとの研究結果が、南アフリカ共和国・ウィットウォータースランド大学のFrederick J. Raal氏らによって報告された。「ELIPSE HoFH試験」と呼ばれるこの研究の成果は、NEJM誌2020年8月20日号に掲載された。ホモ接合型FHは、LDL-C値の異常な上昇によって引き起こされる早発性の心血管疾患を特徴とする。この疾患は、LDL受容体活性が実質的に消失する遺伝子変異(null-null型)または障害される遺伝子変異(non-null型)と関連している。また、アンジオポエチン様3(ANGPTL3)をコードする遺伝子の機能喪失型変異は、低脂血症や、アテローム性動脈硬化性心血管疾患への防御と関連している。ANGPTL3に対するモノクローナル抗体であるevinacumabは、ホモ接合型FH患者にとって有益である可能性が示されていた。

うつ病を伴う糖尿病患者、医療従事者のケアで代謝指標が改善/JAMA

 うつ病を合併した糖尿病患者に対する共同ケア(collaborative care)は、通常ケアと比較して24ヵ月時点のうつ症状および循環代謝指標の複合評価を、統計学的に有意に改善することが認められた。米国・エモリー大学のMohammed K. Ali氏らが、インドにおけるうつ病を合併した糖尿病患者を対象とする実用的な無作為化非盲検臨床試験「INDEPENDENT試験」の結果を報告した。メンタルヘルス疾患を合併している患者は増加しており、糖尿病ではとくにケアが断片化しているとアウトカムが悪化する。低中所得国では、財政や医療従事者の不足などが障壁となって効果的なケアが阻まれ、ますます複数の慢性疾患を有する患者が増加し、回避可能にもかかわらず不良なアウトカムにつながっている。そのため、メンタルヘルスケアの導入を増加させアウトカムを改善するために有効で実現可能な統合ケアが求められていた。JAMA誌2020年8月18日号掲載の報告。

体重減少伴う発症初期の糖尿病で膵がんリスク増/JAMA Oncol

 糖尿病と膵臓がんの関連は知られているが、体重減少を伴う発症して間もない糖尿病では、膵臓がんのリスクが大幅に高いことが明らかにされた。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChen Yuan氏らによるコホート研究の結果で、「高齢」「以前は健康体重」「意図的な減量ではない」場合は、さらに膵臓がんの発症リスクが高まることも示された。米国において膵臓がんは、がん死要因で3番目に多いという。しかしこれまで、膵臓がんの早期診断戦略を促進する高リスク群は、ほとんど特定されていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、30年以上にわたり繰り返し評価が行われてきた米国の2つのコホート研究(Nurses’Health StudyおよびHealth Professionals Follow-Up Study)のデータを用いて、糖尿病罹病期間および最近の体重変化とその後の膵臓がんリスクとの関連を解析した。