糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:94

2型DM、食事の脂肪の質が死亡リスクと関連/BMJ

 2型糖尿病患者において、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取量増加は炭水化物または飽和脂肪酸の摂取と比較して、全死亡および心血管死の低下と関連していることが認められた。中国・浙江大学のJingjing Jiao氏らが、米国のNurses' Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyのデータを解析して明らかにした。著者は、「結果は、2型糖尿病患者の心血管死および全死亡の予防に、食事中の脂肪の質が重要な役割を果たすことを強調するものである」とまとめている。糖尿病患者の食事ガイドラインでは、良好な健康を維持するためにトランス脂肪の摂取を減らし、飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えることを推奨しているが、これは一般集団での検討結果に基づいたもので、糖尿病患者における特定の食事中の脂肪と全死亡および心血管死との関連性についてはほとんど知られていなかった。BMJ誌2019年7月2日号掲載の報告。

持続する疲労感は成長ホルモン不全症(AGHD)のせい?

 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、都内で成人の成長ホルモン分泌不全症(AGHD)に関するプレスセミナーを開催した。  セミナーでは「成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)とは」をテーマに、亀田 亘氏(山形大学医学部付属病院 第三内科 糖尿病・代謝・内分泌内科)を講師に迎え、なかなか診療まで結びつかない本症に関し、症状、診断と治療、患者へのフォローなどが紹介された。

ダパグリフロジン、糖尿病患者の腎保護示す-DECLARE‐TIMI 58サブ解析

 近年、SGLT2阻害剤はアテローム性動脈硬化症患者の腎アウトカムに対し、有益な効果を示すことが明らかになりつつある。今回、イスラエル・Hadassah Hebrew University Hospital のOfri Mosenzon氏らがDECLARE-TIMI 58のサブ解析を実施。ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、腎機能を保持している2型糖尿病患者において、アテローム性動脈硬化症の有無にかかわらず、プラセボと比較して腎疾患の予防および進展抑制を示す結果が得られた。Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。

経口GLP-1受容体作動薬の心血管安全性を確認(解説:吉岡成人氏)-1070

日本では未発売の製剤であるが、GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドと構造が類似した週1回注射製剤セマグルチドは、2型糖尿病患者の心血管イベントを抑止することがすでに確認されている。また、セマグルチドには経口製剤があり(吸収促進剤により胃粘膜でのセマグルチドの分解を阻害し、胃粘膜細胞間隙から薬剤が吸収される製剤)、1日1回の経口投与によって注射製剤と同等のHbA1c低下作用と体重減少作用が示されている。今回、経口セマグルチドの承認申請前に実施する心血管系に対する安全性を評価する試験の結果が公表された。

GLP-1受容体作動薬、デュラグルチドは2型糖尿病患者の腎イベントを抑制するか?:REWIND試験の腎に関する予備解析結果(解説:栗山哲氏)-1069

2型糖尿病においてGLP-1受容体作動薬、デュラグルチドのadd-on療法は、新規アルブミン尿発症を抑制する。インクレチン薬であるGLP-1受容体作動薬の腎作用が解明されつつある。現在までにGLP-1受容体作動薬に関する大規模研究は、セマグルチドのSUSTAIN-6研究、リラグルチドのLEADER研究、リキシセナチドのELIXA研究の3つ報告がある。この中で、前二者において腎複合イベントに改善作用が示唆された(ELIXA研究では腎イベントは事前設定されていない)。

日本の高齢者、痩せと糖尿病が認知症リスクに

 わが国の高齢者において、痩せていること(BMI 18.5kg/m2未満)と糖尿病が認知症発症のリスク因子であり、BMIが低いほど認知症発症率が高いことが、JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study:日本老年学的評価研究)のコホートデータを用いた山梨大学の横道 洋司氏らの研究で示された。また、本研究において認知症発症率が最も高かったのは高血圧症を持つ痩せた高齢者で、次いで脂質異常症を持つ痩せた高齢者であった。Journal of Diabetes Investigation誌オンライン版2019年6月17日号に掲載。

デュラグルチドが2型DMの腎アウトカム改善/Lancet

 デュラグルチド(商品名:トルリシティ)は、Stage3/4の慢性腎臓病患者において、1年後の推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を軽減することが報告されている。カナダ・マックマスター大学のHertzel C. Gerstein氏らREWIND試験の研究グループは、今回、同試験の探索的解析として、デュラグルチドの長期使用による2型糖尿病患者の腎アウトカムへの影響を検討し、プラセボと比較して有意な改善効果が得られることを示した。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。本試験では、既存の血糖降下レジメンへのデュラグルチドの追加により、2型糖尿病患者の心血管イベントのリスクが低減することが確認されている。

中高年ハイリスク2型DMにデュラグルチドが有用/Lancet

 心血管疾患の既往または心血管リスク因子を有する2型糖尿病の中年~高齢患者の血糖コントロールにおいて、デュラグルチド(商品名:トルリシティ)皮下注は有用なマネジメントの方法となりうることが、カナダ・マックマスター大学のHertzel C. Gerstein氏らが実施した「REWIND試験」で示された。研究の詳細はLancet誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。デュラグルチドは多くの国で、2型糖尿病患者の高血糖のマネジメントに資するとして承認を得ている、長時間作用型のGLP-1受容体作動薬であり、心血管疾患の既往のある患者において、心血管アウトカムの改善効果が報告されている。

経口セマグルチドの心血管安全性を確認/NEJM

 心血管リスクが高い2型糖尿病患者を対象とした、標準治療への経口セマグルチド追加投与の安全性を評価した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Peptide Innovation for Early Diabetes Treatment 6:PIONEER 6試験」の結果が報告された。カナダ・トロント大学のMansoor Husain氏らによる検討で、心血管安全性について、経口セマグルチドのプラセボに対する非劣性が示された。GLP-1受容体作動薬セマグルチドは、現在国内外で承認・発売されているのは皮下注射剤のみで、経口剤の心血管安全性を確立することが望まれていた。NEJM誌オンライン版2019年6月11日号掲載の報告。

2型DMへのGLP-1、経口薬vs.皮下注/Lancet

 2型糖尿病の患者に対するGLP-1受容体作動薬は、現在、皮下注製剤のみが承認されている。米国・AdventHealth Translational Research Institute for Metabolism and DiabetesのRichard Pratley氏らは、開発中のセマグルチドの経口製剤について、リラグルチド皮下注(商品名:ビクトーザ)またはプラセボと比較した第IIIa相無作為化ダブルダミー二重盲検試験「PIONEER 4」の結果を発表した。経口セマグルチドはリラグルチド皮下注に対して、HbA1c値の低下について非劣性であり、体重減少については優越性が示された。安全性と忍容性は同等であった。また、プラセボに対しては、HbA1c値の低下、体重減少ともに優越性が示された。結果を踏まえて著者は、「経口セマグルチドによって、一連の糖尿病治療におけるGLP-1受容体作動薬治療の導入を早めることが可能になるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年6月8日号掲載の報告。