糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:95

エンドセリン受容体拮抗薬の糖尿病性腎症への効果は?:SONAR試験/国際腎臓学会

 2010年に報告されたASCEND試験1)において、糖尿病性腎症に対する腎保護作用を示しながら、心不全増加のため有用性を証明できなかったエンドセリン受容体拮抗薬だが、対象例を適切に絞り込めば有用であることが、ランダム化二重盲検試験“SONAR”の結果から明らかになった。本試験は、4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019のBreaking Clinical Trialsセッションにおいて、Dick de Zeeuw氏(オランダ・グローニンゲン大学)らが報告した。

新規携帯型デバイスd-NAVは2型糖尿病患者のインスリン治療を大きく前進させるか?(解説:住谷哲氏)-1026

インスリン投与が必要となる2型糖尿病患者は少なくない。血糖降下薬としてのインスリンの特長は投与量に上限がないことであり、理論上インスリン投与量を増加すれば血糖は必ず低下する。しかし実臨床においてはインスリン投与にもかかわらずHbA1c>8.0%の患者は多く存在する。本論文の著者であるHodish氏らはこの状況を“insulin paradox”と名付けて、その原因は必要十分量のインスリンが投与されていないことにあると主張してきた。

SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用が示される:CREDENCE試験/国際腎臓学会

 2型糖尿病患者に対する心血管系(CV)イベントリスクの低下を検討したランダム化試験から、SGLT2阻害薬による腎保護作用が示唆された。しかし、あくまで副次的解析であり、対象は腎機能が比較的保たれた例に限られていた。4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019で報告されたCREDENCE試験では、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが、慢性腎臓病(CKD)を合併した2型糖尿病患者の腎・心イベントを抑制することが明らかになった。Vlado Perkovic氏(オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学)が報告した。

急性冠症候群ガイドラインの改訂点は?/日本循環器学会

 急性心筋梗塞や不安定狭心症、心臓突然死を含む急性冠症候群。これは、欧米での死因第一位であり、高齢化や食の欧米化が年々加速する日本でも他人事ではない。2019年3月29~31日、第83回日本循環器学会学術集会が開催され、『急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)』の作成班長を努めた木村 一雄氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター)が、急性冠症候群診療ガイドラインの改訂ポイントについて解説した。  『急性冠症候群診療ガイドライン』は、3つのガイドライン(「ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン」、「非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン」、「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」)を包括し、発行された。作成するにあたり、急性冠症候群診療ガイドラインがアジア諸国の参考となることを目指し英文ガイドラインも同時発表されたが、このような急性冠症候群(ACS)を包括したガイドラインは、米国や欧州でもいまだに作成されていない。

1型糖尿病児の血糖コントロール、持続皮下vs.頻回注射/BMJ

 英国の1型糖尿病の小児では、1年時の血糖コントロールに関して、持続皮下インスリン注入療法(CSII)には頻回注射法(MDI)を凌駕する臨床的有益性はないことが、同国Alder Hey Children’s NHS Foundation TrustのJoanne C. Blair氏らが行ったSCIPI試験で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年4月3日号に掲載された。CSIIは費用対効果が優れるとするメタ解析や経済評価の報告があるが、いずれも小規模な無作為化対照比較試験や観察研究のデータに基づくものであった。

がん終末期は減薬を/Cancer

 がん終末期における予防薬の投与はいつまで行われているのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLucas Morin氏らは、高齢の進行がん患者における降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬の継続について調査を行い、これらは死亡前1年間においても処方され、しばしば最後の数週間まで続けられていたことを明らかにした。著者は、「終末期の患者において、予防薬が臨床的有用性を達成する可能性は低い。

特売卵のコレステロール量は?/日本動脈硬化学会

 卵1個のカロリーについては取り沙汰されることが多く、ご存じの方も多いだろう。先日、JAMAでも卵の摂取量と心血管疾患の発症や死亡率との相関を示す論文が発表され、話題を集めている。では、われわれが日頃食べている卵には、一体どのくらいのコレステロールが含まれるのだろうか? 2019年3月27日、日本動脈硬化学会が主催するプレスセミナーが開催され、「LDLコレステロールと動脈硬化」をテーマに上田 之彦氏(枚方公済病院診療部長、日本動脈硬化学会広報・啓発委員)が登壇した。

日本人における糖尿病とがんリスクを検証~JPHC研究

 日本人集団における糖尿病とがんリスクについて、多目的コホート研究(JPHC研究)での前向きメンデルランダム化解析により、これらの関連を裏付ける強いエビデンスは見いだされなかったことを、国立がん研究センターの後藤 温氏らが報告した。従来の回帰モデルを用いたコホート研究では、2型糖尿病患者のがんリスク増加が一貫して示されていた。しかし、因果の逆転や糖尿病とがんに共通する危険因子による残余交絡が存在する可能性があり、糖尿病そのものががん発症に寄与しているかどうかは不明であった。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年3月30日号に掲載。

アルコール依存症患者の再入院とBMIや渇望との関連

 常習性の飲酒、渇望、過食は、共通の病理学的メカニズムを有している。ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのChristian Weinland氏らは、BMIや渇望がアルコール依存症入院患者のアウトカムを予測するかどうかを調査した。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年3月2日号の報告。  早期に禁酒したアルコール依存症入院男性患者101例および女性患者72例を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。渇望は、Obsessive-Compulsive Drinking Scale(OCDS)スコアを用いて定量化した。24ヵ月以上のアルコール関連再入院を記録した。

コントロール不良2型DM、セマグルチドvs.シタグリプチン/JAMA

 メトホルミン(単剤またはSU薬併用)でコントロール不良の成人2型糖尿病患者に対し、セマグルチド7mg/日、14mg/日の投与は、シタグリプチン投与に比べ、26週の試験期間中の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値を、より大きく有意に抑制したことが示された。セマグルチド3mg/日では有意なベネフィットは示されなかったという。米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが、約1,900例を対象に行った第IIIa相ダブルダミー無作為化並行群間比較試験「PIONEER 3試験」の結果で、GLP-1受容体作動薬セマグルチドについて、他のクラスの血糖降下薬と直接比較した初となる第III相試験だという。