感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:175

新型コロナウイルス感染妊婦の臨床症状と垂直感染の可能性(解説:小金丸博氏)-1193

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する論文が次々と公表され、一般集団における臨床像、画像所見の特徴などが少しずつ判明してきた。これまで妊婦に関するデータは限定的であったが、今回、新型コロナウイルス肺炎と確定診断された妊婦9例の臨床症状と、児への垂直感染の可能性を検討した論文がLancet誌オンライン版(2020年2月12日号)に報告された。妊婦9例の年齢は26~40歳で基礎疾患はなく、全例妊娠第3期だった。臨床症状としては、発熱(7例)、咳嗽(4例)、筋肉痛(3例)、咽頭痛(2例)、倦怠感(2例)を認めた。2月4日時点で感染妊婦に重症例、死亡例は確認されなかった。子宮内垂直感染の有無を確認するために、9例中6例で羊水、臍帯血、新生児の咽頭拭い、母乳中のRT-PCR検査が実施されたが、すべて陰性だった。

浙江省のCOVID-19症例、3割に基礎疾患/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した中国・浙江省の患者の臨床的特徴について、中国・浙江大学のXiao-Wei Xu氏らがレトロスペクティブ研究を行った結果、 2020年2月初旬時点では、武漢で感染した患者と比較して、浙江省の患者の症状は比較的軽度であることが明らかとなった。BMJ誌オンライン版2020年2月19日号掲載の報告。  研究者らは2020年1月10日~26日の期間、中国・浙江省でCOVID-19患者受け入れ登録施設である 7病院に検査入院し、SARS-CoV-2感染が確認された62例のデータを収集・調査した。疫学的データとして、武漢渡航歴や体温測定結果、曝露履歴、潜伏期間などを収集し、定形の症例報告書に臨床データを集約した。

COVID-19、無症状でもウイルス量は発症者と同等/NEJM

 中国・広東省疾病管理予防センターのLirong Zou氏らが、COVID-19の患者18例について、鼻と喉から採取したサンプルを調べたところ、鼻で高いウイルス量が検出され、ウイルスの広がり方は、ゲノム配列が類似しているSARS-CoVよりもインフルエンザに近いことがわかった。NEJM誌オンライン版2020年2月19日号CORRESPONDENCEでの報告。  本研究では、中国・広東省珠海市で新型コロナウイルス陽性と確認された患者18例について、無症状であった1例を除く17例の鼻腔スワブ72本と咽頭スワブ72本から検体を採取。発症日とウイルス量の相関を連続的にモニタリングした。

COVID-19、中国からドイツへの帰国者126人の追跡調査/NEJM

 世界中に広がる新型コロナウイルスの感染を受け、多くの国が中国からの帰国者、旅行者に制限を設けている。ドイツの研究者らは、中国・湖北省から帰国した126人についての追跡結果を、NEJM誌オンライン版2020年2月18日号のCORRESPONDENCEに報告した。  帰国者らの症状と臨床徴候のスクリーニングは中国を出発する前に実施され、飛行中、感染の可能性が高い10人の乗客は隔離された。彼らは、到着後すぐにフランクフルト大学病院に移送されたが、全員がRT-PCR検査でSARS-CoV-2陰性を示した。

MRSA、バンコマイシン/ダプトマイシンへのβラクタム系追加投与は?/JAMA

 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)菌血症患者に対し、バンコマイシンまたはダプトマイシン静脈投与による標準治療にβラクタム系抗菌薬を追加投与しても、90日時点の複合アウトカムおよび全死因死亡について、有意な改善は認められないことが示された。オーストラリア・Peter Doherty Institute for Infection and ImmunityのSteven Y C Tong氏らが、約350例の患者を対象に行った無作為化試験で明らかにした。MRSA菌血症による死亡率は20%超となっている。これまで標準治療+βラクタム系抗菌薬による介入が死亡率を低下することが示されていたが、検出力が十分な無作為化試験による検討はされていなかった。JAMA誌2020年2月11日号掲載の報告。

COVID-19、年代別の致命率は~4万例超を分析

 4万4,000例を超える新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疫学的調査結果が報告された。2020年2月11日時点で、中国で診断された全症例の記述的、探索的分析の結果が示されている。CCDC(中国疾病管理予防センター)のYanping Zhang氏らによるChinese journal of Epidemiology誌オンライン版2020年2月17日号掲載の報告。  著者らは、2020年2月11日までに報告されたすべてのCOVID-19症例を、中国の感染症情報システムから抽出。以下の6つの観点で分析を実施した:(1)患者特性の要約、(2)年齢分布と性比の分析、(3)致命率(死亡例数/確定例数、%で表す)と死亡率(死亡例数/総観察時間、per 10 person-days[PD]で表す)の算出、(4)ウイルスの広がりの地理的時間的分析、(5)流行曲線の構築、(6)サブグループ解析。

新型コロナウイルス受診の目安を発表/厚生労働省

 国内での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、先日開催された内閣の新型コロナウイルス感染症専門家会議で議論された「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」が、2月17日に厚生労働省より発表された。主な目的は、国民の新型コロナウイルスへの不安の鎮静化と検査や診療による医療機関への過度な集中を防ぐためのものである。  具体的な相談・受診の目安として、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」、また、「高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全など)があり、前記の2つの症状が2日程度続く」という人は、各都道府県に設置されている帰国者・接触者センターへの相談を要請している。

COVID-19疑い例の来院時、具体的手順は?

 日本国内で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が増えつつあり、大きな懸念の一つとされているのが院内での感染の疑いが出ていることだ。中国国内でも14日までに1,716人の医療従事者が感染し、6人の死亡が報告されている。  2月7日に行われた日本感染症学会・日本環境感染学会主催の緊急セミナー(司会は日本感染症学会理事長 館田 一博氏、日本環境感染学会理事長 吉田 正樹氏)において、菅原 えりさ氏(東京医療保健大学大学院 医療保健学研究科感染制御学 教授)が「感染対策の再確認」と題し発表を行った。

「COVID-19、世界は収束の方向だが日本の状況を不安視」WHO進藤氏

 2月14日の第35回日本環境感染学会総会・学術集会では、冒頭の会長講演に代わり、「新型コロナウイルス感染症の対策を考える」と題した緊急セミナーが開催された。この中で、WHO(世界保健機関)のメディカルオフィサーとして危険感染症対策に当たる進藤 奈邦子氏が、これまでのWHOの取り組みと世界からの最新情報、そして日本への期待について語った。  冒頭、進藤氏は「現在、WHOは新型コロナウイルス(COVID-19)根絶を目指したオペレーションを展開中だ。中国では既に新たな症例数が減りつつあり、その他の国からの報告例も減っている。その中で唯一、新たな症例数が増えているのが日本だ」と懸念を示した。

COVID-19、水際対策のあるべき姿とは

 “検疫における水際対策を一層徹底する”という内閣総理大臣からの指示がなされ、報道でも水際対策の強化が取り上げられている。2月13日に開催されたメディア・市民向けセミナー「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」において、加來 浩器氏(防衛医科大学校防衛医学研究センター 広域感染症疫学・制御研究部門教授)がその対策の真意を語った(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。