感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:205

未就学児への不適切な抗菌薬処方、小児科以外で多い

 未就学児の上気道感染症(URI)への抗菌薬処方に関する、全国の診療報酬請求データベースを用いた京都大学の吉田 都美氏らの後ろ向き研究から、非細菌性URIへの不適切な抗菌薬処方が、年齢の上昇、男児、施設の特性、小児科以外の診療科、時間外診療に関連することがわかった。Journal of public health誌オンライン版2017年4月27日号に掲載。

CDC「手術部位感染予防のためのガイドライン」18年ぶりの改訂

 米国疾病管理予防センター(CDC)は、「手術部位感染予防のためのガイドライン」を1999年以来18年ぶりに改訂し、エビデンスに基づく勧告を発表した。手術部位感染(SSI)治療のための人的および財政的負担の増加を背景に、専門家の意見を基に作成された1999年版から、エビデンスベースの新たなガイドラインに改訂された。著者らは「これらの勧告に基づく手術戦略を用いることで、SSIのおよそ半分が予防可能と推定される」と記している。

咽頭痛に対するステロイドの症状軽減効果(解説:小金丸 博 氏)-679

咽頭痛は、プライマリケアセッティングでみることの多い症候の1つである。咽頭炎の原因の多くはウイルス感染症であるものの、症状軽減効果や化膿性合併症の予防を期待して不必要な抗菌薬が投与されてしまうことも多い。あるsystematic reviewでは、咽頭痛に対してステロイドを単回投与することで24時間以内に症状を消失させることが示されたが、引用された試験はすべて抗菌薬とステロイドを併用したものであり、ステロイド単独の有効性を示した研究は存在しなかった。

アルツハイマー病患者へのベンゾジアゼピン使用と肺炎リスク

 ベンゾジアゼピンや同様の作用を有する非ベンゾジアゼピン(Z薬)が、高齢者の肺炎リスク増加と関連しているかはよくわかっていない。フィンランド・Kuopio Research Centre of Geriatric CareのHeidi Taipale氏らは、催眠鎮静薬の使用と肺炎を有するアルツハイマー病患者を対象に、この関連性を調査した。CMAJ(Canadian Medical Association Journal)誌2017年4月10日号の報告。

急性咽頭痛、デキサメタゾンで有意に改善/JAMA

 急性咽頭痛で抗菌薬の即時投与を必要としない成人患者に対し、経口デキサメタゾンの単回投与が、48時間後の症状完全消失に効果があることがわかった。なお24時間後の症状完全消失については、有意な改善はみられなかったという。英国・Nuffield Department of Primary Care Health SciencesのGail Nicola Hayward氏らが、英国プライマリケアベースで565例を対象に行った、プラセボ対照無作為化二重盲検試験で明らかにしたもので、JAMA誌2017年4月18日号で発表した。急性咽頭痛はプライマリケアで最も多い症状の1つで、それに対する不適切な抗菌薬投与も少なくないのが現状だという。

MRワクチン接種後に失明、偶然か必然かは不明

 予防接種後、まれに眼炎症が観察されることがあるが、ほとんどは永続的な視覚障害を生じることなく回復する。今回、近畿大学医学部眼科学教室の國吉一樹氏らは、インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン、肺炎球菌結合型ワクチンならびに麻疹風疹混合(MR)ワクチン接種後に、両眼の急性失明を来した生後13ヵ月の日本人の健康な男児について報告した。後ろ向きの調査の結果、感染により滲出性網膜剥離とともに重篤な脈絡網膜炎が誘発されてリカバリンに対する自己抗体が産生され、自己抗体が急速に光受容体の機能を変化させたものと推察された。著者らは、「初期の感染はMRワクチン接種に起因した可能性がある」との見解を示したうえで、「われわれの知る限り過去に報告例はないので、ワクチン接種後の失明は偶然の一致によるものかもしれないし、ワクチン接種に関連しているのかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。