感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:33

新型コロナ、2価ワクチンブースターの有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種について、オミクロンBA.4/5またはBA.1変異株対応2価ワクチンによるブースター接種(4回目接種)は、1価(起源株)ワクチン3回接種と比較して、50歳以上の成人におけるCOVID-19関連入院/死亡の低下と関連していたことを、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らが報告した。また、BA.4/5対応2価ワクチンとBA.1対応2価ワクチンの直接比較では、ワクチンの有効性に有意差はなく、潜在的な違いは絶対数では非常に小さいことが示唆されたという。BMJ誌2023年7月25日号掲載の報告。

国産初の新型コロナmRNAワクチンを追加免疫として承認、供給なし/第一三共

 第一三共は8月2日のプレスリリースにて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する起源株1価mRNAワクチン「ダイチロナ筋注」(DS-5670)について、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を適応とした追加免疫における国内製造販売承認を取得したことを発表した。本剤については、2023年1月に国内製造販売承認申請を行い、COVID-19に対する国産初のmRNAワクチンとして今回承認に至った。本剤は、冷蔵(2~8度)での流通・保管が可能となるため、医療現場での利便性の向上が期待される。

ウクライナの戦争負傷者で薬剤耐性菌が増加

 ウクライナで戦争により負傷して入院した患者の多くが、極度の薬剤耐性を獲得した細菌に感染していることが、ルンド大学(スウェーデン)臨床細菌学分野教授のKristian Riesbeck氏らによる研究で示された。研究グループは、このような状況が戦争により荒廃したウクライナの負傷者や病人に対する治療をいっそう困難なものにしているとの危惧を示している。この研究は、「The Lancet Infectious Diseases」7月号に掲載された。  Riesbeck氏は、「私はこれまでに多くの薬剤耐性菌と患者を目にしてきたため慣れているが、今回目撃したほど強烈な薬剤耐性菌に遭遇したことは、これまでなかった」と話している。

コロナの急性期症状、男女差は?

 男性のほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が重症化しやすく死亡率が高いという、性別による差異が報告されている。その理由として、男性のほうが喫煙率や飲酒率、予後悪化に関連する併存疾患を有している割合が高いなどの健康格差が示唆されている1)。今回、COVID-19の急性期症状の性差を調査したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された男性では発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性よりも高いことが、米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センター/アーカンソー医科大学のJenil R. Patel氏らにより明らかになった。Preventive Medicine Reports誌2023年10月号掲載の報告。

途上国で最強、最適な治療(解説:岡慎一氏)

ケニアで行われた臨床試験である。途上国では2000年以降、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)をKey drugとして、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤との3剤を合剤にしたGeneric薬が、治療の中心として用いられてきた。もちろん、これにより多くの命が救われた。しかし、NNRTIを中心とする治療は、治療に失敗した場合に薬剤耐性ウイルスが出やすい一方、薬の種類が少ないため、2回目以降の治療の選択肢は限られていた。その後、プロテアーゼ阻害薬(PI)がKey drugとなってから治療失敗による薬剤耐性の頻度はやや減ったが、PIは薬剤の相互作用が多く、脂質異常など副作用も多いため、すでに先進国ではあまり使用されていない。

秋接種、ファイザーとモデルナのXBB.1.5対応1価ワクチン購入合意/厚労省

 厚生労働省は7月28日、新型コロナワクチンの2023年秋開始接種に向けて、オミクロン株XBB対応1価ワクチンとして、ファイザーから2,000万回分、モデルナから500万回分を追加購入することについて、両社と合意したことを発表した。なお、必要に応じて追加購入することも合意している。  同日にファイザーが発表したプレスリリースによると、今回供給を予定しているのは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンとなっている。本ワクチンは、同社が2023年7月7日に厚生労働省に承認事項一部変更申請を行っていた。

小学生のコロナ感染リスクに近隣の社会経済環境が関連―大阪市での研究

 自宅周辺の社会経済環境と、小学生の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染リスクとの関連が報告された。高学歴者の多い環境で暮らす小学生は感染リスクが低く、卸売・小売業の従事者が多い環境の小学生は感染リスクが高いという。同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の大石寛氏(大学院生)、同大学スポーツ健康科学部の石井好二郎氏らの研究の結果であり、詳細は「Children」に4月30日掲載された。  居住地域の社会経済環境とCOVID-19感染リスクとの間に有意な関連があることは、既に複数の研究から明らかになっている。ただしそれらの研究の多くは海外で行われたものであり、またCOVID-19重症化リスクの低い小児を対象とした研究は少ない。日本は子どもの相対的貧困率が高いこと、および、当初は低いとされていた子どものCOVID-19感染リスクもウイルスの変異とともにそうでなくなってきたことから、国内の子どもたちを対象とした知見が必要とされる。これを背景として石井氏らは、大阪市内の公立小学校の282校の「学区」を比較の単位とする研究を行った。なお、大阪市内には生活保護受給率が全国平均の3倍を上回る地区が複数存在している。

コロナによる医療中断で回避可能な入院リスク増/BMJ

 英国・リバプール大学のMark A. Green氏らは、同国7つの縦断研究のコホートデータを解析し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中に医療へのアクセスが中断された人は、回避可能な入院をより多く経験していたとみられることを報告した。COVID-19流行中に医療サービスや治療へのアクセスがどの程度中断したかは、幅広い研究によって明らかとなっているが、この中断と健康への悪影響との関連を評価する研究が求められていた。著者は、「今回の調査結果は、パンデミックの短期的・長期的影響への対応や、将来のパンデミック時の治療・処置の保護のために、医療投資を増やす必要性を浮き彫りにしている」と述べている。BMJ誌2023年7月19日号掲載の報告。

亜鉛補給でコロナ死亡率低下~メタ解析

 亜鉛の補給によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡リスクが有意に低下することが、米国・Patel College of Allopathic MedicineのSpencer Z. Rheingold氏らのメタ解析によって明らかになった。Cureus誌2023年6月10日号掲載の報告。  亜鉛は必須微量元素の1つで、炎症や感染症における免疫系の重要な調節因子であるとともに、直接的な抗ウイルス作用もあることが報告されている。COVID-19患者の予後を改善するために多くの研究グループが亜鉛補給に関する試験を実施しているが、その効果には議論の余地がある。そこで研究グループは、亜鉛を補給したCOVID-19患者と補給していないCOVID-19患者の死亡率と症状の関連についてメタ解析を行った。

コロナ再感染、高齢者よりも若年層で増加

 新型コロナウイルス感染症の流行が長期にわたり、再感染者も増えている。再感染は基礎体力が劣り、基礎疾患を持つ人が多い高齢者に多いのではと考えられるが、実際には若年・中年層の増加率が高齢者よりも高いことが明らかになった。米国疾病管理予防センター(CDC)が実施した研究結果は、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年6月23日号に掲載された。  CDCは2021年9月5日~2022年12月31日に、米国の18の管轄区域から報告された18歳以上の成人のCOVID-19全症例、入院、死亡に占める再感染の割合を調査し、5つの期間(デルタおよびオミクロン[BA.1、BA.2、BA.4/BA.5、BQ.1/BQ.1.1]がそれぞれ優勢だった期間)と年齢層別に解析した。