感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:36

セフトリアキソンとランソプラゾールの併用リスク、日本人では?

 セフトリアキソン(CTRX)とランソプラゾールの併用は、心室性不整脈、心停止、院内死亡を増加させることが示唆されるという研究結果が、2023年にカナダの研究グループから報告され、話題となった。そこで、三星 知氏(下越病院)らの研究グループは、医療データベースを用いた後ろ向きコホート研究により、日本人におけるこれらのリスクを検討した。その結果、日本人においてもCTRXとランソプラゾールの併用は、心室性不整脈や心停止のリスクを上昇させることが示唆された。本研究結果は、Journal of Infection誌オンライン版2024年6月17日号で報告された。  本研究は、2014年4月~2022年8月の期間に日本のJMDCデータベースから取得したデータを用いて実施した。対象は、CTRXまたはスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用する20歳超100歳未満の患者10万5,301例とした。主要評価項目は、心室性不整脈・心停止の発生率とした

コロナ罹患後症状、中年層や女性に高頻度/NCGM

 国立国際医療研究センターは7月1日付のプレスリリースにて、オミクロン株BA.5流行期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(Long COVID)の頻度や関連要因について、同センターの射場 在紗氏らの研究グループが、東京都品川区、筑波大学、大阪大学と共同で行った調査の結果を発表した。本結果によると、40~49歳の中年層、女性、基礎疾患のある人、COVID-19の重症度が高かった人で罹患後症状の頻度が高かったが、感染前にワクチンを接種していた人では罹患後症状の頻度が低かったことなどが明らかとなった。罹患後症状がある人において、感染から約半年経過後も8.5%が日常生活に深刻な支障があるという。本結果は、Emerging Infectious Diseases誌2024年7月号に掲載された。

手術部位感染予防、ポビドンヨードvs.クロルヘキシジン/JAMA

 心臓手術または腹部手術後の手術部位感染(SSI)の予防において、術前の皮膚消毒薬としてのポビドンヨードのアルコール溶液はクロルヘキシジングルコン酸塩のアルコール溶液に対し非劣性で、心臓と腹部の手術のいずれにおいてもSSI発生率に有意な差はないことが、スイス・バーゼル大学のAndreas F. Widmer氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年6月17日号で報告された。  本研究は、スイスの3つの大学病院で実施したクラスター無作為化クロスオーバー非劣性試験であり、2018年9月~2020年3月の期間に患者を登録した(スイス国立科学財団[SNSF]の助成を受けた)。  心臓または腹部の待機的手術が予定されている成人患者を対象とした。各施設は、連続18ヵ月間にわたり、毎月、ポビドンヨードまたはクロルヘキシジングルコン酸塩のいずれかのアルコール溶液を使用する群(クラスター)に無作為化された。治療の割り付け情報は、アウトカムの評価者や各施設の責任医師、統計解析の担当者などにはマスクされたが、試験薬の固有の色の違いのため患者と外科医のマスクは不可能だった。

ポスト・パンデミック期:コロナ抗ウイルス薬は無効?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

2023年夏以降、コロナ感染症はポスト・パンデミックの時代に突入した。この時期に注目されているのが間断なく継続しているウイルスの遺伝子変異に対して、オミクロン株以前のパンデッミク期に開発された抗ウイルス薬が、その効果を維持しているかどうかという点である。今回論評するHammond氏らの論文は、2021年8月から2022年7月にかけて、播種しているコロナウイルスがデルタ株からオミクロン株に切り替わりつつある過渡期に集積された症例を対象としたものである。Hammond氏らはこれらの対象をもとに3-キモトリプシン様プロテアーゼ阻害薬ニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パキロビッドパック、本邦承認:2022年2月10日、5日分の薬価:9万9,000円)に関するEPIC-SR試験(Evaluation of Protease Inhibition for COVID-19 in Standard-Risk Patients trial)の結果を報告した。

リブテンシティ、臓器移植における難治性のCMV感染症にて承認取得/武田

 武田薬品工業は2024年6月24日付のプレスリリースにて、「リブテンシティ錠200mg」(一般名:マリバビル)について、「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス(CMV)感染症」を効能または効果として、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。  本承認は、SOLSTICE試験(海外第III相非盲検試験)および国内第III相非盲検試験の結果に基づくものである。SOLSTICE試験(リブテンシティ群235例、既存の抗CMV治療群117例)において、リブテンシティは、主要評価項目である投与開始後8週時点のCMV血症消失において既存の抗CMV治療群と比較して統計学的に有意な差が検証された。

D型肝炎へのbulevirtide、PEG-IFN上乗せが有効/NEJM

 慢性D型肝炎に対して、bulevirtide+ペグインターフェロン アルファ-2a(PEG-IFNα-2a)の併用療法はbulevirtide単独療法と比べて、治療後24週時点のD型肝炎ウイルス(HDV)RNA陰性化率の評価において優れることが示された。フランス・パリ・シテ大学のTarik Asselah氏らが第IIb相非盲検無作為化試験の結果を報告した。bulevirtide単独療法は慢性D型肝炎患者におけるウイルス学的奏効をもたらすことが、第III相試験において示されている。また、PEG-IFNα-2aは本疾患へ適応外使用されているが、両薬の併用によりウイルス学的抑制が強化され、慢性D型肝炎患者の投与期間を限定した治療となりうるのかは明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2024年6月6日号掲載の報告。

重症敗血症へのβ-ラクタム系薬投与、持続と間欠の比較(BLING III)/JAMA

 重症敗血症患者に対するβ-ラクタム系抗菌薬による治療では、間欠投与と比較して持続投与は、90日の時点での死亡率に有意差を認めないことが、オーストラリア・Royal Brisbane and Women's HospitalのJoel M. Dulhunty氏らが実施した「BLING III試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年6月12日号で報告された。  BLING III試験は、7ヵ国の104の集中治療室(ICU)で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2018年3月~2023年1月に参加者を登録し、2023年4月に90日間の追跡を完了した(オーストラリア・国立保健医療研究評議会などの助成を受けた)。

米国アカデミー、Long COVIDの新たな定義を発表

 米国科学・工学・医学アカデミー(NASEM)※は6月11日、「Long COVIDの定義:深刻な結果をもたらす慢性の全身性疾患(A Long COVID Definition A Chronic, Systemic Disease State with Profound Consequences)」を発表した。Long COVID(コロナ罹患後症状、コロナ後遺症)の定義は、これまで世界保健機構(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)などから暫定的な定義や用語が提案されていたが、共通のものは確立されていなかった。そのため、戦略準備対応局(ASPR)と保健次官補室(OASH)がNASEMに要請し、コンセンサスの取れたLong COVIDの定義が策定された。全166ページの報告書となっている。本定義は、Long COVIDの一貫した診断、記録、治療を支援するために策定された。

重症敗血症へのβ-ラクタム系薬、持続投与vs.間欠投与~メタ解析/JAMA

 敗血症または敗血症性ショックでICUに入院中の重症成人患者において、β-ラクタム系抗菌薬の持続点滴投与は間欠点滴投与と比較し、90日死亡リスクの低下と関連していることが、オーストラリア・クイーンズランド大学のMohd H. Abdul-Aziz氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析の結果で示された。β-ラクタム系抗菌薬の持続点滴投与が、敗血症または敗血症性ショックの重症成人患者において臨床的に重要な転帰を改善するかどうかはわかっていなかった。著者は、「今回の結果は、臨床医が敗血症および敗血症性ショックの管理における標準治療として持続点滴投与を考慮すべきことを示している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年6月12日号掲載の報告。