内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:114

ベンゾジアゼピンの使用と中止の意思決定に関する患者と精神科医の認識比較

 ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の長期使用は推奨されていないにもかかわらず、患者や医師がどのように認識しているかは、あまりよくわかっていない。聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、精神科外来患者および精神科医において、BZDの使用と中止の意思決定に関する認識を評価し比較するため、横断調査を実施した。その結果、精神科外来患者の多くは、自分の意思に反して睡眠薬または抗不安薬を長期的に使用していることが示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年4月3日号の報告。

7項目でメタボ発症を予測~日本人向けリスクスコア

 向こう5年間でのメタボリックシンドローム(MetS)発症リスクを、年齢や性別、BMIなど、わずか7項目で予測できるリスクスコアが開発された。鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科のSalim Anwar氏、窪薗琢郎氏らの研究によるもので、論文が「PLOS ONE」に4月7日掲載された。  MetSの有病率は、人種/民族、および、その国で用いられているMetSの定義によって異なる。世界的には成人の20~25%との報告があり、日本では年齢調整有病率が19.3%と報告されている。これまでにMetSの発症を予測するためのいくつかのモデルが提案されてきているが、いずれも対象が日本人でない、開発に用いたサンプル数が少ない、検査値だけを検討していて生活習慣関連因子が考慮されていないなどの限界点がある。著者らはこれらの点を考慮し、日本人の大規模なサンプルのデータに基づく予測モデルの開発を試みた。

コロナ感染2年後、18%に罹患後症状/BMJ

 感染前にワクチン未接種であった重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染者の約18%に、感染後2年まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状が認められ、未感染者と比較して感染者には症状の過剰リスクがあることが、スイス・チューリッヒ大学のTala Ballouz氏らが実施した「Zurich SARS-CoV-2 Cohort研究」のデータ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年5月31日号で報告された。

脳卒中後の回復の鍵は運動

 脳卒中後の回復には、運動が重要である可能性を示すデータが報告された。脳卒中発症後の6カ月間に運動量を増やして継続していた患者は、そうでない患者よりも機能的転帰が良好だったという。ヨーテボリ大学(スウェーデン)のDongni Buvarp氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に5月1日掲載された。同氏は、「脳卒中の重症度にかかわりなく、運動量を増やすことでメリットを得ることができる」と話している。  この研究は、2014年10月~2019年6月に、スウェーデンの35の医療機関が参加して実施された、抗うつ薬の有効性を検証した臨床研究のデータを用いて行われた。研究参加者は脳卒中発症後2~15日に登録された18歳以上の患者1,367人〔年齢中央値72歳(四分位範囲65~79)、男性62%〕。主要評価項目は、運動量の経時的な変化であり、副次的に6カ月後の機能回復の程度(mRSスコア)が評価された。

コロナ罹患後症状、スコアに基づく定義を提案/JAMA

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染後に生じる持続的であり再発を繰り返す、あるいは新規の症状は、罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)と呼ばれ、long COVIDとしても知られている。米国・マサチューセッツ総合病院のTanayott Thaweethai氏らは、米国国立衛生研究所(NIH)によるRECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)Initiativeの一環として、RECOVER成人コホート9,764例のデータを解析し、SARS-CoV-2感染者では非感染者と比較して37症状が感染後6ヵ月以上の時点で多く認められ、このうち12症状の症状スコアに基づき、PASCを定義する予備的ルールを開発した。著者は、「PASCの実用的な定義のためには、他の臨床的特徴をさらに組み込み反復的な改良が必要である」とまとめている。JAMA誌オンライン版2023年5月25日号掲載の報告。

γ-GTPが高い、アルコール性肝障害の可能性は?

 大塚製薬主催のプレスセミナー(5月22日開催)において、吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器内科学 教授)が「肝機能異常を指摘されたときの対処法」について講演し、アルコール性肝障害を疑うポイントやかかりつけ患者に対する対応法ついて解説を行った。  肝機能障害は“人間ドック受診者の3人に1人が指摘を受ける項目”と言われており、臓器治療としては断酒治療が最も有効だが、ハードルが高い患者さんには「断酒をいきなり強く求めると治療が続かないことが多く、その場合まずは減酒から始める」と吉治氏は話した。医学界では各学会が「熊本宣言 HbA1c7%未満」「stop-CKD eGFR60未満」などのスローガンを掲げて市民に対して疾患啓発を行っている一方で、肝機能については提言が存在しなかった。そこで、日本肝臓学会は6月15、16日に開催される『第59回日本肝臓学会総会』にて“Stop CLD(Chronic liver disease) ALT over 30U/L”(ALTが30を超えたらかかりつけ医を受診しましょう)を『奈良宣言』として掲げることにしたという。この数値の根拠ついて「この値は特定健診基準や日本人間ドック協会のALTの保健指導判定値であり、日本のみならず脂肪肝がとくに問題になっている米国でも医師への相談基準」とコメントした。

糖尿病患者の眼科受診率は半数以下/国立国際医療研究センター研究所

 糖尿病で重大な合併症に「糖尿病性網膜症」がある。治療の進歩もあり、減少しているとはいえ、本症の予防には定期的なスクリーニングが重要であり、糖尿病を主に診療する内科医と眼科医の間の連携はうまく機能しているのだろうか。この疑問に対し、井花 庸子氏(国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター)らの研究グループは、ナショナルデータベースを用いたレトロスペクティブ横断コホート研究「わが国の糖尿病患者における糖尿病網膜症スクリーニングのための内科と眼科の受診間の患者紹介フロー」を行い、その結果を報告した。Journal of Diabetes Investigation誌5月2日オンライン掲載。

母親の認知症歴が子供の認知症リスクに影響

 両親の認知症歴は、子供の認知症リスクを上昇させるともいわれているが、その結果に一貫性は見られていない。韓国・Sungkyunkwan University School of MedicineのDae Jong Oh氏らは、両親の認知症歴と子供の認知症リスクに関して、認知症サブタイプおよび性別の影響を調査するため、本検討を行った。その結果、母親の認知症歴は、男女ともに子供の認知症およびアルツハイマー病(AD)リスクとの関連が認められた。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年5月10日号の報告。  8ヵ国、9件の人口ベースコホート研究より抽出された高齢者1万7,194人のデータを用いて、横断的研究を実施した。対象研究では、認知症の診断のため、対面診断、身体検査、神経学的検査、神経心理学的評価が実施された。父親および母親の認知症歴と子供の認知症、認知症サブタイプのリスクとの関連を評価した。

大卒の社会人、ADHD特性レベルが高いのは?

 これまで、成人の注意欠如多動症(ADHD)と社会人口学的特徴を検討した研究の多くは、ADHDと診断された患者を対象としており、一般集団におけるADHD特性について調査した研究は、ほとんどなかった。また、大学在学中には問題がみられず、就職した後にADHD特性を発現するケースが少なくない。国際医療福祉大学の鈴木 知子氏らは、大卒の日本人労働者におけるADHD特性と社会人口学的特徴との関連について、調査を行った。その結果、大学を無事に卒業したにもかかわらず、大卒労働者ではADHD特性レベルは高いことから、ADHD特性レベルを適切に評価し、健康の悪化や予防をサポートする必要性が示唆された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年4月5日号の報告。

Long COVIDは5タイプに分類できる

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期を過ぎた後に何らかの症状が遷延する、いわゆる「long COVID」は、5タイプに分類可能であるとする論文が「Clinical and Experimental Medicine」に4月7日掲載された。聖マリアンナ医科大学総合診療内科の土田知也氏らによる研究によるもので、就労に影響が生じやすいタイプも特定された。  Long COVIDは長期間にわたり生活の質(QOL)を低下させ、就労にも影響が及ぶことがある。現在、治療法の確立が急がれているものの、long COVIDの病態の複雑さや多彩な症状を評価することの困難さなどのために、新規治療法の有効性を検討する臨床試験の実施にも高いハードルがある。そのため、まずlong COVIDをいくつかのタイプに分類して、それぞれのタイプを特徴付けるという試みが始まっており、海外発のそのような研究報告も存在する。ただし、QOL低下につながりやすい就労への影響という点を勘案した分類は、まだ提案されていない。土田氏らの研究は、以上を背景として行われた。