内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:429

TG低下とLDL-C低下、有益性はほぼ同等/JAMA

 アポリポ蛋白B(アポB)値の単位変化当たりのトリグリセライド(TG)値低下の臨床的有益性は、LDLコレステロール(LDL-C)値低下とほぼ同等であり、アポB含有リポ蛋白粒子の減少の絶対値と比例する可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年1月29日号に掲載された。TGとコレステロールは、いずれもアポB含有リポ蛋白粒子によって血漿中に運ばれる。血漿TG値の低下により、心血管イベントのリスクはLDL-C値の低下と同程度に低減するかとの疑問への確定的な回答は得られていないという。

安価なインスリンへの変更、血糖値への影響は/JAMA

 米国のメディケアに加入する2型糖尿病患者において、インスリンアナログ製剤からヒトインスリンへの変更を含む医療保険制度改革の実行は、集団レベルでHbA1c値のわずかな上昇と関連していたことが、米国・ハーバード大学医学大学院のJing Luo氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。新規のインスリンアナログ製剤の価格は上昇しており、ヒトインスリンよりも高額である。しかし、臨床アウトカムを大きく改善しない可能性が示唆されており、低価格のヒトインスリンが多くの2型糖尿病患者にとって、現実的な初回治療の選択肢ではないかと考えられていた。JAMA誌2019年1月29日号掲載の報告。

申告や支払いなしの残業ゼロへ、労務管理の徹底求める~働き方改革

 医師の時間外労働規制の方向性について議論する、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会(第18回)」が、2月6日開催された。上限規制がスタートする2024年4月までの5年間の具体的な流れ、現状案に基づく場合の勤務医の働き方の変化(イメージ)、健康確保措置案としての“代償休息”の設定などが事務局から示され、構成員らが議論を進めた。  まず前提として、これまでの議論で提示された、原則:月100時間未満・年960時間以下(A)、特例:月100時間未満・年1,900~2,000時間以下(B)という案は、あくまで「臨時的な必要がある場合」に36協定上で規定できる上限時間数であることを整理(一般労働者では[休日労働を含まない形で] 月100時間未満・年720時間以下)。

急激な空腹時血糖の増加、心血管リスク高い~吹田研究

 心血管疾患(CVD)発生率との関連において、空腹時血糖(FPG)の変動を検討した研究はこれまでほとんどなかった。今回、国立循環器病研究センター/藤田医科大学の尾形 宗士郎氏らは、吹田研究でCVD発生とFPGの変動によるサブグループを評価した。本研究の結果から、著者らは「FPGが急激に増加した人は、CVD予防のために危険因子の管理が重要かもしれない」としている。Journal of the American Heart Association誌2019年2月5日号に掲載。

アルコール依存症に対するナルメフェンの有効性・安全性~非盲検試験

 アルコール依存症と診断された高飲酒リスクレベル(DRL:drinking risk level)の成人患者(男性:DRL60g/日超、女性:DRL40g/日超)における減酒に対するナルメフェンの有効性および安全性を評価するため、フランス・ボルドー大学のPhilippe Castera氏らが、12週間のオープンラベルプライマリケア研究を実施した。European Addiction Research誌2019年1月号の報告。  患者は、スクリーニング来院後、毎日の飲酒量を2週間記録した。その後、患者の自己申告飲酒レベルをもとに分類を行った。2週間のうち、高DRLのままであった患者はコホートA、高DRLを下回る減酒が認められた患者はコホートBに含まれた。コホートAでは、シンプルな心理社会的介入を行い、飲酒リスクを感じた日にナルメフェン18mgを服用した。コホートBでは、シンプルな心理社会的介入を行い、通常診療に従って治療を実施した。

降圧目標120mmHg未満でも認知症リスクは低下せず/JAMA

 50歳以上の高血圧患者に対し、収縮期血圧の目標値を120mmHg未満として降圧治療を行っても、140mmHgを目標とする通常の降圧治療と比べて、認知症リスクの有意な低下は認められなかったことが示された。一方で、軽度認知障害のリスクは有意な低下が認められたという。米国・ウェイクフォレスト大学のJeff D. Williamson氏ら「SPRINT試験・SPRINT MIND」研究グループが、9,000例超を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、JAMA誌2019年1月28日号で発表した。ただし結果について、「試験が早期に中止となり、認知症例も予想より少なく、エンドポイントの検出力は不足している可能性がある」と指摘している。現状では、軽度認知障害や認知症のリスクを低減する実証された治療法は存在しておらず、今回研究グループは、血圧コントロールの強化が認知症リスクに与える影響を検討した。

今ある知識で考える、新型タバコのリスクとは

 IQOS(アイコス)やPloomTECH(プルーム・テック)などの加熱式タバコのシェアが日本で急速に拡大している。禁煙をめざして、あるいは周囲への影響を考慮して紙巻タバコから移行する人も多い中、医療者はそのリスクをどのように捉えていけばよいのか。第29回日本疫学会学術総会(2019年1月30日~2月1日・東京)において、「タバコ対策の最近の話題」と題したシンポジウムが開催された。本稿では、田淵 貴大氏(大阪国際がんセンター)による講演の内容を紹介する。

若年者の運動時高血圧、高血圧発症を予測か【Dr.河田pick up】

 若年者での運動負荷試験を施行中、極度な高血圧が観察されることは珍しくない。また、アスリートは運動能力が高いため、ピーク時に血圧が上昇することが多い。この運動中の高血圧がどのような意味をもつのかはわかっておらず、どのようなフォローが必要なのかも疑問である。イタリア・ローマのStefano Caselli氏らヨーロッパのグループが、この問題についてEuropean Heart Journal誌オンライン版1月1日号に報告している。

アスピリンの1次予防は、メリットより出血リスクのほうが大きい(解説:桑島巖氏)-1002

被検者数1,000例以上のシステマティックレビューとメタ解析の結果、1次予防薬としてのアスピリンの出血リスクは心血管イベントの発症予防のメリットを上回るというのが本論文の主旨である。アスピリンは脳卒中や虚血性心疾患を有している症例に対する2次予防効果が確認されているが、1次予防効果に対する有効性に関してはいまだ定かではなかった。そもそもは、1989年にPhysicians Heart studyという米国の医師を被検者としてアスピリン325mg隔日服用群とプラセボ群にランダマイズして両群の心筋梗塞発症率を比較したRCTで、アスピリン群のほうが44%もAMIが少なかったという成績がNEJM誌に発表されたことから、一躍アスピリンの心血管イベント抑制効果が注目され始めた。