神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:131

医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか

 てんかんの新規発症の予防は、重要な公衆衛生上の問題であり、緊急のアンメットニーズである。しかし、その予防が進んでいるかは不明である。フィンランド・トゥルク大学のMatti Sillanpaa氏らは、この40年間の医学の発展による、フィンランドにおけるてんかん予防の進展を検討した。JAMA neurology誌オンライン版2016年2月15日号の報告。

アルツハイマー病の今後の治療戦略予測

 アルツハイマー病は、最もよく見られる進行性の神経変性疾患である。コリン作動性機能障害は主要な病理学的変化の1つであり、コリン作動性ニューロンの枯渇は、βアミロイドプラークや神経原線維変化といった十分に確立された毒性によって引き起こされる。コリン作動性機能障害は、アセチルコリンの合成と放出の減少の結果であり、ムスカリン性およびニコチン性のコリン作動受容体の機能を変化させる。また、コリン作動性変化、アミロイドβ産生やタウのリン酸化と2つの主要なアルツハイマー病の病理的特徴との間には直接的な相関が同定されている。イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学のAnnamaria Confaloni氏らは、コリン作動性受容体の活性を調節できる新たなアロステリックやbitopicリガンドの同定を検討した。さらに、脳内で薬物を送達する薬物送達(drug delivery)法(ナノ粒子、リポソームなど)が、毒性や潜在的な副作用を低減するかも検討した。Current pharmaceutical design誌オンライン版2016年2月15日号の報告。

アルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学

 台湾におけるアルツハイマー病(AD)の介護負担は、日本と同様に緊急の社会的課題となっている。介護負担の比較は、それぞれの国における介護者の負担感を明確にする可能性がある。熊本大学の松下 正輝氏らは、日本と台湾のADに対する介護負担の比較を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年1月28日号の報告。

認知症発症率は過去30年間で低下:フラミンガム心臓研究/NEJM

 フラミンガム心臓研究の参加者では、30年間に認知症の発症率が経時的に低下していることが、米国・ボストン大学医学部のClaudia L Satizabal氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2016年2月11日号に掲載された。認知症の有病率と関連医療費は、平均寿命の延長に伴い急速に増加すると予測されているが、高所得国では年齢別の認知症発症率(=特定の年齢層における認知症リスク)が減少しているという。時間的傾向(temporal trend)は、典型的な地域のサンプル集団において、新規の症例を一貫性のある診断基準を用いて継続的にモニタリングすることで信頼性が最も高くなるが、この条件を満たす既報のデータは限られている。

一次性進行型MSに対するフィンゴリモドの有用性/Lancet

 一次性進行型多発性硬化症(PPMS)に対するフィンゴリモド(スフィンゴシン-1-リン酸受容体調節薬)の安全性と有効性を検証した第III相試験「INFORMS」の最終結果が報告された。フィンゴリモドによる抗炎症療法は、PPMSの病態進行を抑制しないことが示された。試験報告を行った米国マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のFred Lublin氏らは、結果を踏まえて「PPMSの治療は、再発性MSとは異なるアプローチが必要である」とまとめている。フィンゴリモドは、再発性MSおよび二次性進行型MSに有効であることから、PPMSに対しても同様の効果が期待されていた。Lancet誌オンライン版2016年1月27日号掲載の報告。