高齢化は、認知症者数の増加につながる。しかし、米国や他の高所得国における近年の研究では、認知症の年齢別リスクが過去25年間で減少している可能性があることが示唆されている。認知症の有病率やリスクの現在および今後の人口動向を明らかにすることは、患者、家族、国家プログラムにおいて重要な意味を持つ。米国・ミシガン大学のKenneth M Langa氏らは、2000年と2012年の米国における認知症有病率の比較を行った。JAMA internal medicine誌2017年1月号の報告。
米国で代表的なHealth and Retirement Study(HRS)のデータより、2000年(1万546人)と2012年(1万511人)の65歳以上の米国人口縦断調査を行った。認知症は、HRS認知尺度を毎年実施し、自己回答者と代理人を分類するための方法で検証された。ロジスティック回帰を用いて、2000年と2012年の認知症有病率の変化に関連する社会経済的および健康的変数を特定した。
主な結果は以下のとおり。
・コホートの平均年齢は、2000年75.0歳(95%CI:74.8~75.2歳)、2012年74.8歳(95%CI:74.5~75.1歳)であった(p=0.24)。女性の割合は、2000年58.4%(95%CI:57.3~59.4%)、2012年56.3%(95%CI:55.5~57.0%)であった(p<0.001)。
・65歳以上の認知症有病率は、2000年11.6%(95%CI:10.7~12.7%)、2012年8.8%(95%CI:8.2~9.4%、年齢および性別で標準化:8.6%)であった(p<0.001)。
・教育年数の多さが認知症リスク低下と関連しており、2000年と2012年で教育年数は11.8年(95%CI:11.6~11.9年)から12.7年(95%CI:12.6~12.9年)へ有意に増加していた(p<0.001)。
・認知症有病率は、米国高齢者の心血管リスクプロファイル(たとえば、高血圧、糖尿病、肥満の有病率)の年数が、年齢、性別で調整した後でも有意に増加していたにもかかわらず、低下していた。
著者らは「米国における認知症有病率は、2000年から2012年にかけて有意に減少していた。認知症有病率の低下には、教育年数の増加が一部関連していたが、有病率低下に寄与する社会的、行動的、医学的要因は明らかになっていない。認知症の発症や有病率の傾向を継続的にモニタリングすることは、将来的な社会的影響を評価するために重要である」としている。
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