認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/14

 

 認知症患者は進行に伴い、意思疎通が難しくなる。このような問題を解決するため、神奈川県立保健福祉大学の友利 幸之介氏らは、作業療法に当たっての作業選択意思決定支援ソフト「ADOC(Aid for Decision-making in Occupation Choice;エードック)」の活用基準を確定するため検討を行った。検討の結果、ADOCは中等度認知症患者における大切な作業を把握するのに役立つ可能性があることが示された。Disability and Rehabilitation : Assistive Technology誌オンライン版2013年12月24日号の掲載報告。

 ADOCは、友利氏らが開発したiPadアプリケーションで、画面上でカードゲームをするように、日常生活上の作業が描かれた95枚のイラストを使って、患者自身が思う大切な作業とそうでない作業に振り分けてもらうことで意思を示してもらうというものである。

 検討は、日本国内5つの医療施設から116例の患者を登録して行われた。作業療法士が認知症患者に、ADOCを用いてインタビューを行い、患者が思う大切な作業を確定した。主要介護者により、最も大切な作業を確定してもらい、Mini-Mental State Examination(MMSE)を用いてカットオフ値を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・受信者動作特性曲線(ROC)分析の結果、ADOCを用いて大切な作業を選択可能なカットオフ値は、MMSEスコア8であることが示された。
・感度は91.0%、特異度は74.1%であり、曲線下面積(AUC)値は0.89であった。
・ADOCは、中等度認知症患者の大切な作業を引き出すのに役立つ可能がある。
・また、ADOCのリハビリテーション的意義として次のような点を列挙した。
■認知症が進行するにつれて、活動に関するニーズや要求を表明することは困難になっていく可能性がある。
■iPadアプリ「ADOC」は、体系的な目標設定プロセスを通じて意思決定の共有促進に有用であり、MMSEスコア8以上の人において最も大切な作業を選択することが可能である。
■ADOCは、中等度認知症患者の最も大切な作業を引き出すのに役立つ可能がある。

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(ケアネット)