河川や水道水で抗うつ薬検出:東ヨーロッパ 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/04/04 抗うつ薬は低濃度曝露であっても、脊椎動物・無脊椎動物のいずれにおいても中枢系および末梢神経系を通じてホメオスタシスを妨げ、水生生物に若干の有害作用をもたらす可能性がある。これまで東ヨーロッパの河川または水道水における、抗うつ薬の存在に関する報告はなかったことから、ポーランド・ワルシャワ大学のJoanna Giebultowicz氏らは、21種の抗うつ薬の出現について、ポーランドの主要河川であるヴィスワ川の特異的地点と、ワルシャワ近郊の小さな川であるウトラタ川、そしてワルシャワの水道水について調べた。その結果、河川からは21種のうち11種が、水道水からは同5種が検出されたことなどを報告した。本調査は、東ヨーロッパの水資源中の抗うつ薬の含有状況についての最初の調査報告であった。Ecotoxicology and Environmental Safety誌オンライン版2014年3月14日号の掲載報告。 月に2回の頻度で検体を集め、固相抽出(SPE)法、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)、多重反応モニタリング(MRM)を用いて分析した。ポーランドにおける抗うつ薬の環境リスクアセスメントは、NFZ(Narodowy Fundusz Zdrowia国民保健サービス)の年報データ(医薬品の償還に関する)を基礎として推定し、ターゲット医薬品の環境中濃度(PEC)の予測値と、実測濃度(MEC)を比較した。また、抗うつ薬の環境リスクアセスメントに関するEMEA/CHMPガイドラインの適用についても考察した。 主な結果は以下のとおり。 ・モクロベミドやトラゾドンといった抗うつ薬が環境中に存在するかが調べられたのは本検討が初めてであった。 ・モクロベミド、ベンラファキシン、シタロプラムの検出濃度が最も高かった。 ・河川からは21種のうち11種の抗うつ薬が検出された。 ・最も高い濃度の抗うつ薬が観察されたのは、小さい川であるウトラタ川であった。 ・水道水では、シタロプラム(痕跡量:最高1.5ng/L)、ミアンセリン(最高0.9ng/L)、セルトラリン(<3.1ng/L)、モクロベミド(最高0.3ng/L)、ベンラファキシン(最高1.9ng/L)の5種の抗うつ薬だけが検出された。 ・一方で、このことは飲用水処理施設での不十分な除去状況を浮き彫りにした。 ・飲用水および水資源中における抗うつ薬の検出は、長期にわたる低曝露が起きていることを示唆するものであり、とくに、医薬品間の相互作用が起きている可能性があることを示すものであった。 関連医療ニュース 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か 双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (ケアネット) 原著論文はこちら Giebułtowicz J, et al. Ecotoxicol Environ Saf. 2014 Mar 14;104C:103-109. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM(2024/09/27) 複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet(2024/09/27) 重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)(2024/09/27) 転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024(2024/09/27) 日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験(2024/09/27) サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド(2024/09/27) アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン(2024/09/27) 患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート(2024/09/27) 肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024(2024/09/27) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)