双極性障害と心血管疾患の関係性

提供元:ケアネット

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公開日:2015/07/20

 

 米国・メイヨークリニックうつ病センター(Mayo Clinic Depression Center)のMiguel L Prieto氏らは、精神病の既往や心血管疾患(CVD)リスク因子といった双極性障害の臨床的特徴が、双極性障害患者におけるCVDリスクに関与するかどうかを調査する目的で横断研究を実施した。その結果、精神病性双極性障害の表現型が心疾患の合併ならびにその重症度と関連している可能性があることが明らかにされた。Bipolar Disorder誌オンライン版2015年6月9日号の掲載報告。

 対象は、DSM-IV-TR構造化面接(SCID)によって確認された双極I型/II型障害、または統合失調感情障害双極型の患者988例であった。心疾患の重症度判定も含む13項目からなるCumulative Illness Severity Rating Scale(CIRS)を使用し、合併症についてカルテに基づき評価した。スコア1(現在は軽度または過去に重大の問題があった)または心臓に関する項目で点数の高い患者と、スコア0(障害なし)の患者とを比較するロジスティック回帰分析を行った。

 結果は以下のとおり。

・多変量モデルにおいて、年齢(オッズ比[OR]:3.03、95%信頼区間[CI]:1.66~5.54、p<0.0001)、高血圧(同:2.43、1.69~3.55、p<0.001)、精神病の既往(同:1.48、1.03~2.13、p=0.03)はCVDと有意な関連がみられた。
・文献から得られたCVD危険因子を分析に加えた場合、CVDとの関連は年齢(OR:3.19、95%CI:1.67~6.10、p=0.0005)および高血圧(同:2.46、1.61~3.76、p<0.01)は有意なままであったが、精神病(同:1.43、0.96~2.13、p=0.08)は有意傾向であった。

 結果を踏まえ、著者らは「精神病性双極性障害の表現型が、心疾患の合併ならびにその重症度と関連している可能性がある。今後は、この関連にうつ病の疾病負荷やライフスタイル、非定型抗精神病薬による治療がどう影響しているかを検討する必要がある」とまとめている。

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(ケアネット)