カナダの聖フランシスコ・ザビエル大学のL Gougeon氏らは、地域在住の健康な高齢男女について、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の摂取量と3年間のうつ病発症率との関連を調べた。その結果、食物からのビタミンB6摂取量が多い女性とビタミンB12摂取量が多い男性は、うつ病の発症リスクが低いことを報告した。European Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2015年12月9日号の掲載報告。
本検討は、Quebec Longitudinal Study on Nutrition and Aging(NuAge)に参加し、ベースラインでうつ病を認めなかった住民(30項目の高齢者用うつ尺度[GDS]のスコアが11未満)を対象とし、年1回、うつ病の発症(GDSスコア11以上)、または抗うつ薬治療の状況を調べた。ベースラインで実施した3回の「24時間思い出し法」による非連続的調査の平均値から摂取量(食物のみ・食物+サプリメント)の三分位値を求めた。性別で層別化した多変量ロジスティック回帰モデルは、年齢、身体活動度、身体機能、ストレスのかかる出来事、総エネルギー摂取量で調整を行い、うつ病との関連を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・被験者は1,368人、74±4歳、女性50.5%であった。
・3年間に170人がうつ病と診断された。
・食物からのビタミンB6摂取量が最高三分位値の女性は、人口動態学的および健康要因を調整後、うつ病を発症する確率が43%低かった(多変量オッズ比[OR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.39~0.96)。ただし、エネルギー摂取量で調整後、影響は減弱した。
・食物からのビタミンB12摂取量が最高三分位値の男性では、うつ病リスクが低かった(エネルギー量調整後の多変量OR:0.42、95%CI:0.20~0.90)。
・このほかに、関連性を示すデータは得られなかった。
・検討により、食物からのビタミンB6摂取量が多い女性においてうつ病リスクの低下を示すエビデンスが示されたが、総エネルギー摂取量に依存するものであった。
・一方、食物からのビタミンB12摂取量が多い男性では、エネルギー摂取量にかかわらずうつ病リスクの低下がみられた。
(鷹野 敦夫)
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