抗精神病薬服用中の授乳、安全性は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/05/10 トルコ・ネジメッティン・エルバカン大学のFaruk Uguz氏は、母乳哺育児における第2世代抗精神病薬(SGA)の安全性を検討した。Journal of clinical psychopharmacology誌2016年6月号の報告。 母乳やSGAなどのキーワードと組み合わせて、1990年1月~2015年6月30日までの英語文献をPubMedで検索した。相対的乳児投与率(RID)、乳汁/血漿薬物濃度比(M/P比)、乳児の血漿薬物レベル、有害事象などの関連データを含む症例報告、ケースシリーズ、前向きまたは横断的研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。 ・合計37件の関連文献を調査した。 ・関連文献に206例の乳児が含まれた(オランザピン:170例、クエチアピン:14例、リスペリドン/パリペリドン:8例、クロザピン:6例、アリピプラゾール4例、ziprasidone:2例、amisulpride:2例)。 ・M/P比、RID、乳児の血漿薬物レベルについて利用可能なデータの約半数に、オランザピンが含まれていた。 ・比較的適切な文献では、オランザピンのRIDは低いことが示唆されていた。 ・限られた文献において、クエチアピンとziprasidoneの低いRID、リスペリドン/パリペリドンとアリピプラゾールの中程度のRID、amisulprideの高いRIDが示された。 ・ほとんどの乳児において、血漿中から抗精神病薬は検出されなかった。 ・クロザピン以外では、有害事象の報告はわずかであった。 著者らは、「現在のデータでは、SGAは短期間の使用において母乳哺育児に対し比較的安全であると考えられる。しかし、とくにオランザピン以外のSGAに関しては、短期および長期の母乳哺育児に対する影響を検討する必要がある」としている。 関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学 妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Uguz F. J Clin Psychopharmacol. 2016;36:244-252. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査を用いた検診は胃がん予防に有効か(解説:上村直実氏)(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 産婦人科医ユミの頼られる「女性のミカタ」 (2014/10/08) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/17) Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術(2014/06/11) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25)