T790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験

提供元:ケアネット

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公開日:2016/11/09

 

 オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)は、EGFR-TKI耐性およびT790M変異に対する強力かつ不可逆的なEGFR–TKIである。この研究は、既存のEGFR-TKIによる前治療後に増悪したT790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者におけるオシメルチニブの有効性および安全性を評価した第II相試験AURA2の中間解析。Lancet Oncology誌オンライン版2016年10月14日号の掲載の報告。

 AURA2は第II相オープンラベル、シングルアーム試験。T790M変異陽性が確認され、EGFR-TKIの前治療で増悪した18歳以上の局所進行または転移性NSCLC(StageIIIB/IV)患者に、オシメルチニブ1日1回80mgを投与した。主治医が臨床的有益性を認めた場合、治療はPD後も続けられた。ステロイドを必要としない、無症候性で安定した脳転移患者も登録されている。主要評価項目は客観的奏効率(ORR)である。そのほかのエンドポイントおよび安全性に関しては、オシメルチニブの投与を受けた全患者で評価された。

 主な結果は以下のとおり。

・2014年5月20日~2014年9月12日、472例がスクリーニングされ、そのうち210例がオシメルチニブによる治療を受けた。11例はベースライン時の測定可能な疾患が存在しないため除外されている(n=199)。データカットオフ時(2015年11月1日)にも治療を継続していた患者は122例(58%)であった。
・フォローアップ期間の中央値は13.0ヵ月。
・ORRは199例中140例の70%、CR6例(3%)、PR134例(67%)であった。
・Grade3/4の有害事象でよくみられたものは、肺塞栓症7例(3%)、QT延長5例(2%)、好中球減少4例(2%)、貧血、呼吸困難、低ナトリウム血症、血小板減少症、ALT上昇は3例ずつ(1%)、認められた。
・重篤な有害事象は52例(25%)で報告され、うち11例(5%)は主治医により治療関連と評価された。
・有害事象による死亡は7例(肺炎2例、嚥下性肺炎1例、直腸出血1例、呼吸困難1例、成長障害1例、間質性肺炎1例)であった。
・主治医により治療関連の可能性があると評価された致死的なイベントは、間質性肺疾患によるものだけであった。

(ケアネット 細田 雅之)

参考

 AURA2(ClinicalTrials.gov)

原著論文はこちら

 Goss G, et al. Lancet Oncol. 2016 Oct 14. [Epub ahead of print]