二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は、慢性腎疾患に伴う骨・ミネラル代謝異常の中で高頻度に発症し、生命予後やQOLに影響を与える病態である。
本研究では、SHPTを有する日本の血液透析患者における新規静脈内投与カルシウム受容体作動薬エテルカルセチド(商品名:パーサビブ、国内未発売)の有効性と安全性が検討された。Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2017年1月5日号掲載の報告。
エテルカルセチドは血液透析下におけるSHPTの新たな治療選択肢
<試験デザイン>
国内第III相プラセボ対照二重盲検比較試験
<方法>
試験対象は、血液透析下の血清インタクト副甲状腺ホルモン(iPTH)濃度が300 pg/mL以上のSHPT患者155例。
対象者をエテルカルセチド群、プラセボ群に無作為に割り付けた。
エテルカルセチドおよびプラセボを初回用量5mg投与開始し、その後4週間隔で2.5〜15mgの範囲で用量調整を行い、週3回合計12週間、静脈投与した。
主要評価項目は、日本透析医学会が定めるiPTH 濃度の管理指針(60~240pg/mL)を達成した患者の割合とした。
副次評価項目は、ベースラインから血清iPTHが30%以上減少した患者の割合とした。
SHPTを有する血液透析患者におけるエテルカルセチドの有効性を検討した主な結果は以下のとおり。
・主要評価項目に合致したSHPT患者の割合は、エテルカルセチド群で有意に高かった(エテルカルセチド群59.0%、プラセボ群1.3%)。
・副次評価項目に合致したSHPT患者の割合も、エテルカルセチド群で有意に高かった(エテルカルセチド群76.9%、プラセボ群5.2%)。
・血清アルブミン補正カルシウム、リンおよびインタクト線維芽細胞増殖因子23の濃度は、エテルカルセチド群で減少した。
・エテルカルセチド群において認められた悪心、嘔吐および低カルシウム血症は軽度であった。
・エテルカルセチドに関連する重大な有害事象は認められなかった。
本研究において、エテルカルセチドの有効性および安全性が実証された。
エテルカルセチドは唯一の静脈内投与カルシウム感受性受容体作動薬として、血液透析下におけるSHPTの新たな治療選択肢となりうる。
(ケアネット 常盤 真央)