大手術を受ける患者は濃厚赤血球輸血(packed red blood cell、以下PRBC)の投与を受ける機会も多い。しかし、PRBCの経年程度(輸血前の保存期間)が、周術期の手術成績に与える影響はいまだ明らかになっていない。
当試験には2009~14年にジョンズホプキンス大学病院で、肝・膵臓および結腸直腸の外科的切除術を受け、1単位以上の赤血球輸血を受けた1,365例の患者が登録された。そこからPRBCの保存期間、臨床病理的特徴、そして周術期の結果を入手し多変量解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・合計5,901単位のPRBCが輸血され、1患者当たりの中央値は2単位であった。
・保存期間35日未満のPRBCを受けた患者(新鮮なPRBC群)は936例(58.6%)、保存期間35日以上の投与を受けた患者(古いPRBC群)は429例(32.4%)であった。
・全体の周術期合併症は32.8%であった。
・古いPRBC群の手術合併症発生率は42.7%、新鮮なPRBC群では28.3%と、古いPRBC群で有意に高かった(p<0.01)。
・交絡因子調整後も古いPRBCは周術期合併症のリスク増加に関連していた(RR:1.02、p=0.03)。
古いPRBCの使用は、肝・膵臓および結腸直腸手術術後合併症の独立した予測因子であり、術後合併症のリスク上昇に寄与する可能性が示唆された。
(ケアネット 細田 雅之)