「3大がん」死亡リスクが高い職業は?:日本人男性

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/23

 

 肺がん・胃がん・大腸がんは、日本人男性におけるがん関連死亡原因のトップ3となっている。北里大学の江口 尚氏らは、これらの3大がんによる死亡リスクが高い職業および産業を特定することが、健康に関する社会的マーカーを解明するための第一歩であると仮定し、調査を行った。Scientific Reports誌2017年2月23日号の報告。

 日本人男性(25~64歳)における3大がんによる死亡リスクの職業および産業別の差異について、2010年の全国職業調査データおよび産業別死亡率データを用いて検討した(調査対象:2,697万4,828人)。また、調査対象のうち、従事者が最も多い「製造業」を対照分類とし、ポアソン回帰モデルを用いて年齢調整後の死亡率比を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

<職業・産業別の死亡率>
・肺がんおよび大腸がんの死亡率は、職業別では「行政・管理」、産業別では「鉱業」の男性で最も高かった。
・胃がんの死亡率は、職業別では「農林水産業」、産業別では「鉱業」の男性で最も高かった。
・「失業者」の3大がんによる死亡率は、全職業・全産業の中で最も高かった。

<職業・産業別の相対死亡リスク>
・職業別の3大がんによる死亡の相対リスクは、「サービス業」、「行政・管理」、「農林水産業」、「専門職・エンジニア」の男性で高かった。
・産業別の3大がんによる死亡の相対リスクは、「鉱業」、「電力・ガス」、「水産業」、「農業・林業」の男性で高かった。

<製造業を対照とした職業別の死亡率比>
・失業者:8.07~11.40倍
・サービス業:2.96~3.65倍
・行政・管理:2.42~3.49倍
・農林水産業:2.11~2.49倍
・専門職・エンジニア:1.99~2.48倍
・建築・鉱業:1.35~1.61倍
・営業:1.06~1.29倍
・運輸・機械操作:1.05~1.31倍
・事務:0.74~0.87倍
・警備:0.61~0.79倍
・運送・清掃・梱包:0.53~0.64倍

(ケアネット 武田 真貴子)