統合失調症へのメマンチン追加療法のメタ解析:藤田保健衛生大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/06/09 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症治療において抗精神病薬へのメマンチン追加療法が有用であるかを、システマティックレビューおよびメタ解析により検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2017年5月15日号の報告。 抗精神病薬を投与されている統合失調症患者に対するメマンチン追加療法の二重盲検無作為化プラセボ対照試験を分析した。主要アウトカムは、陰性症状の改善、全原因による中止とした。2値アウトカムをリスク比(RR)として示し、連続アウトカムを平均差(MD)、標準化平均差(SMD)として示した。 主な結果は以下のとおり。 ・8件(448例)の研究が抽出された。 ・メマンチン追加療法は、プラセボ群と比較し、PANSS陰性症状(SMD:-0.96、p=0.006、I2:88%、7研究、367例)、総合精神病理尺度(MD:-1.62、p=0.002、I2:0%、4研究、151例)およびMMSE(MD:-3.07、p<0.0001、I2:21%、3研究、83例)において改善が認められたが、全般的(SMD:-0.75、p=0.06、I2:86%、5研究、271例)、陽性症状(SMD:-0.46、p=0.07、I2:80%、7研究、367例)、抑うつ症状(SMD:-0.127、p=0.326、I2:0%、4研究、201例)、全原因による中止(RR:1.34、p=0.31、I2:0%、8研究、448例)、グループ間における個々の有害事象(疲労、めまい、頭痛、吐き気、便秘)において統計学的に有意な差は認められなかった。 ・陰性症状については、リスペリドン試験で検討した場合、有意な異質性は消失した(I2:0%)。 ・しかし、メマンチン追加療法は、プラセボよりも優れていた(SMD:-1.29、p=0.00001)。 ・メタ回帰分析では、患者の年齢がメマンチンによる陰性症状改善と関連していることが示唆された(slope:0.171、p=0.0206)。 著者らは「メマンチン追加療法は、統合失調症患者の精神病理学的症状(とくに陰性症状)を治療するうえで有用である。陰性症状のエフェクトサイズは、若年成人の統合失調症患者と関連する可能性がある」としている。 ■関連記事 統合失調症とグルテンとの関係 せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kishi T, et al. Psychopharmacology (Berl). 2017 May 15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 小児がん、定期的な症状スクリーニングで苦痛な症状が改善/JAMA(2024/11/21) 米国民の幸福度、国内格差を人間開発指数で解析/Lancet(2024/11/21) エンパグリフロジン投与終了後もCKDの心・腎保護効果が持続、レガシー効果か?(解説:栗山哲氏)(2024/11/21) 心臓MRIによるLGEはLVEFより拡張型心筋症のリスクをより良く予測する(解説:佐田政隆氏)(2024/11/21) 肺動脈性肺高血圧症治療剤ユバンシ配合錠が発売/ヤンセン(2024/11/21) TN乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン、販売開始/ギリアド(2024/11/21) ROS1陽性NSCLCへの新たな選択肢レポトレクチニブ、その特徴は?/BMS(2024/11/21) 低リスク肺塞栓症がん患者のVTE再発、リバーロキサバン18ヵ月vs. 6ヵ月(ONCO PE)/AHA2024(2024/11/21) 大腸がん検診、現時点では血液検査よりも大腸内視鏡検査が優れる(2024/11/21) うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、安定後は継続または中止?(2024/11/21) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)