アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年4月18日、「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」を効能・効果とした、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤ベンラリズマブ(商品名:ファセンラ皮下注30mgシリンジ)を発売した。
ベンラリズマブは、ADCC(抗体依存性細胞傷害)活性により、ナチュラルキラー細胞が、血中・気道の好酸球を直接的かつ速やかに除去する。第I相試験により、好酸球が24時間以内に速やかに除去され、また、気道組織中・喀痰中の好酸球も除去することが確認されている。
わが国では約800万人が喘息に罹患していると推定され、そのうち5~10%が、治療にもかかわらずコントロール不良の重症喘息であると言われている。重症喘息患者の約50%で好酸球値が高い傾向があり、好酸球レベルの上昇によって気道炎症や気道過敏性が引き起こされ、その結果、喘息増悪や呼吸機能が低下し、喘息増悪リスクが上昇、喘息が重症化するとされている。既存の喘息治療では症状コントロールができず、頻回の喘息増悪や呼吸機能の低下、生活の質の著しい低下を余儀なくされている重症喘息患者に、新しい治療選択肢として期待されている。
ベンラリズマブは、針刺し防止機能付きプレフィルドシリンジの注射剤で、初回、4週後、8週後、以降8週間隔で皮下注射する。薬価は35万1,535円。
また、現在、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬としても開発が進んでいる。
■参考
アストラゼネカ株式会社 プレスリリース
(ケアネット 堀間 莉穂)