CNS薬理研究所の稲田 健氏らは、日本の統合失調症患者におけるクロザピン使用とそれに伴う副作用について調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2018年8月号の報告。
2009年7月~2016年1月に、クロザリル患者モニタリングサービスに登録されたデータを分析した。クロザリル患者モニタリングサービスは、2009年に日本に導入され、クロザピンの処方を受けたすべての日本人患者を登録している。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者数は、3,780例であった。
・治療中止率は、23.9%(869例)であった。
・平均投与期間は234.9±306.9日(中央値:115日)、平均投与量は186.41±151.6mg/日であった。
・治療継続率は、1年後で78.2%、2年後で72.9%であった。
・好中球減少症/白血球減少症の発生率は、5.4%(206例)であった。
・投与中止前の平均投与量は、233.36±168.15mg(中央値:200mg、範囲:4~600mg)であった。
・耐糖能異常の発生率は、15.4%(583例)であった。
・耐糖能異常が発生した患者は、クロザピン投与前後で98例(2.67%)、クロザピン投与後で485例(12.8%)であった。
・投与開始から耐糖能異常が発生するまでの平均期間は、382.2±420.2日(中央値:216日、範囲:4~2,053日)であった。
著者らは「本研究で得られたデータ(とくにクロザピン誘発性の有害事象の発生データ)は、日本人の治療抵抗性統合失調症患者における、最適かつ安全なクロザピン使用を可能とするだろう」としている。
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(鷹野 敦夫)