日本における認知症の総合的なコスト~公式統計に基づく経時分析 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/10/26 日本における認知症の適切なリソース配分と品質向上の政策を行うため、東邦大学の花岡 晋平氏らは、認知症の社会的負担について経時分析を実施した。International Journal for Quality in Health care誌オンライン版2018年9月29日号の報告。 日本の公式統計より7つの全国のデータセットを用いて、2002~14年の全国人口ベース観察研究を行った。疾患の包括コスト法を用いて分析を行った。アウトカム変数には、医療サービス、介護サービス、家族等による費用負担のないケア、死亡コスト、罹患コストを含んだ。 主な結果は以下のとおり。 ・認知症患者数は、2002年の42万人から2014年の105万人に2.50倍増加していた。 ・家庭やコミュニティにおける患者数は3.22倍、介護施設の患者数は1.42倍に増加していた。 ・社会的負担は、2002年の1.84~2.42兆円から2014年の3.79~5.51兆円に2.06~2.27倍増加していた。 ・総負担に関しては、費用負担のないケアの割合が、36.6~51.9%から37.7~57.2%へ増加していた。 ・さらに、主な介護者が70歳以上の割合が、27.6%から37.6%へ増加していた。 著者らは「介護施設から家庭やコミュニティへの移行、高齢者による高齢者介護、早期認知症診断の推進により、患者1人当たりの平均費用は、437~577万円から360~524万円に減少した(0.82~0.91倍)。患者の安全とケアの質を維持するためには、介護者の許容範囲を超えないような費用負担のないケアの充実が不可欠である」としている。 ■関連記事 認知症患者のQOLは介護従事者による緩和ケアの理解で向上する可能性:都医学研 地方病院の認知症やせん妄患者に対するボランティア介入が再入院率に及ぼす影響 米国の長期介護における向精神薬を使用した認知症ケア改善に関する研究 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hanaoka S, et al. Int J Qual Health Care. 2018 Sep 29. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] COPDの3剤配合薬、定量噴霧吸入器vs.ドライパウダー吸入器/BMJ(2025/01/22) 日本における片頭痛診療の現状、今求められることとは(2025/01/22) 乳がん診断後の手術遅延、サブタイプ別の死亡リスクへの影響(2025/01/22) 自己主導型のCBTはアトピー性皮膚炎の症状軽減に有効(2025/01/22) コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスクを下げる?(2025/01/22) 高齢患者の抗菌薬使用は認知機能に影響するか(2025/01/22) 出産後の抜け毛の量が育児中の不安に独立して関連(2025/01/22) [ あわせて読みたい ] Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上下巻2枚組)(2018/10/15) Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(下巻)(2018/10/15) Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上巻) (2018/10/15) あなたは医学論文を「読める」か?【Dr.倉原の“俺の本棚”】第10回(2018/10/12) 何もかも前代未聞な本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第9回(2018/09/14) Dr.小松のとことん病歴ゼミ (2018/09/07) 買わないほうが“御法度”な医学書【Dr.倉原の“俺の本棚”】第8回(2018/08/15) 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(4)(2018/08/15) 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.3(2018/08/07) 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.2(2018/08/07)