日本の校長と教頭におけるうつ病と職業性ストレス 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/12/06 教育は、最もストレスの多い職業の1つである。過去10年間で、年間約5,000人の日本人の公立学校教師が、精神疾患を発症している。学校の校長や教頭も職業上のストレスに直面していると考えられるが、これらの職業性ストレスについては、ほとんど検討されていなかった。大阪市立大学の新田 朋子氏らは、日本の校長および教頭における職業性ストレス、役割の問題、抑うつ症状との関係について検討を行った。Occupational Medicine誌オンライン版2018年11月14日号の報告。 校長262人、教頭268人を対象に、2013年の横断研究のデータを用いて検討を行った。抑うつ症状の評価には、うつ性自己評価尺度(SDS)日本語版を用い、職業性ストレスと社会的支援の評価には、職業性ストレス調査票(GJSQ)を用いた。SDSスコア49点以上をうつ病と定義した。抑うつ症状と認知された職業性ストレスとの関係は、変数増減法多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・校長の36人(14%)、教頭の81人(30%)がうつ病と評価された。 ・校長において、量的作業負荷(オッズ比[OR]:6.62、95%CI:2.63~16.70)、役割のあいまいさ(OR:4.94、95%CI:1.57~15.53)が抑うつ症状スコアの上昇と関連していた。 ・教頭において、管理者からの社会的支援(OR:4.14、95%CI:1.97~8.68)、役割のあいまいさ(OR:9.71、95%CI:4.08~23.14)が抑うつ症状スコアの上昇と関連していた。 著者らは「日本の校長や教頭のメンタルヘルスを改善するためには、両者の職務を明確にし、校長の量的作業負荷の軽減、教頭に対する管理者からのサポートの増加が重要である」としている。 ■関連記事 日本人教師における仕事のストレスと危険なアルコール消費の性差に関する横断研究 職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか ストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nitta T, et al. Occup Med (Lond). 2018 Nov 14. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] 肩腰膝の痛みをとる Dr.究のあなたもできるトリガーポイント注射 (2018/11/15) Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上下巻2枚組)(2018/10/15) Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(下巻)(2018/10/15) Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上巻) (2018/10/15) あなたは医学論文を「読める」か?【Dr.倉原の“俺の本棚”】第10回(2018/10/12) 何もかも前代未聞な本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第9回(2018/09/14) Dr.小松のとことん病歴ゼミ (2018/09/07) 買わないほうが“御法度”な医学書【Dr.倉原の“俺の本棚”】第8回(2018/08/15) 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.3(2018/08/07) 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.2(2018/08/07)