血清中の酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)は、加齢黄斑変性(AMD)の発症または悪化において統計学的に有意な関連は認められないことが示された。米国・ウィスコンシン大学マディソン校のRonald Klein氏らが、ビーバーダム眼研究(BDES:Beaver Dam Eye Study)のデータを解析、報告した。Ophthalmology誌オンライン版2018年12月17日号掲載の報告。
BDESは、1988年にウィスコンシン州ビーバーダム市在住の43~84歳の住民を対象とする前向き観察研究として開始された。研究グループは、血清中の酸化LDLとAMDとの関連を調べる目的で、BDESにおいて1988~2016年に約5年間隔で行われた6回の調査期のうち1回以上の調査期に診察を受けた4,972例から、50%(2,468例)を無作為に抽出し、各調査期に保管された凍結検体についてELISA法を用いて酸化LDLを測定した。1人が複数回の調査期に診察を受けているため、合計6,586件の結果が含まれている。
AMDはWisconsin Age-related Maculopathy Grading Systemにより評価し、重症度を5段階に分類して調査した。あらゆるAMDや後期AMDの発生率、および25年にわたるAMDの悪化・改善など、AMDの推移と酸化LDLとの関連を、Multi-State Markov(MSM)modelを用いて同時解析した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースラインにおける酸化LDL値(平均±SD)は、75.3±23.1U/Lであった。
・年齢、性別、ARMS2と補体H因子(CFH)の対立遺伝子、および調査期で補正すると、調査期間初期の酸化LDLは、あらゆるAMDの発生率において統計学的に有意な関連は認められなかった(酸化LDL 10U/L当たりのハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.98~1.09)。
・酸化LDLは単独で、AMD重症度の悪化や、後期AMDの発生率とも関連を認めなかった。
・スタチン使用歴、喫煙状況、BMIおよび心血管疾患既往歴に関して補正後も、酸化LDLは、あらゆるAMDの発生率あるいはAMDの悪化と関連を認めないままだった。
(ケアネット)