パニック症に対する薬理学的および神経調節性治療に関する臨床研究

パニック症(PD)の治療法は進展しているものの、より効果的かつ忍容性に優れる治療選択肢へのニーズは依然として高い。ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学のMorena M. Zugliani氏らは、PDに対する薬理学的および神経調節性治療に関する最近のエビデンスについて検討を行った。Psychiatry Investigation誌2019年1月号の報告。
2010~18年に発表された臨床試験を、主要データベース(MEDLINE、Cochrane Library、PsycINFO、トムソン・ロイターのWeb of Science)を用いて検索した。ランダム化比較試験(RCT)または対象患者10例以上のプロスペクティブ臨床試験を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・11論文(RCT:4件、オープン臨床試験:3件、比較臨床試験:5件)が選択基準を満たした。
・RCT研究では、2つの試験のうち1つにおいて、経頭蓋磁気刺激(TMS)の有効性が認められた。
・ピンドロール、d-fenfluramineは、フルマゼニル誘発性パニック発作に有効ではなかった。
・クエチアピン増強療法は、プラセボと比較し、優れた有効性が認められなかった。
・オープン試験では、エスシタロプラム、vortioxetine、TMSが有効である可能性が示唆された。
・比較試験では、どの薬剤においても有意性は認められなかったが、tranylcypromine、パロキセチン、クロナゼパム、アルプラゾラムが有効な治療選択肢であることが確認された。
著者らは「現在の研究では、tranylcypromine、パロキセチン、クロナゼパム、アルプラゾラム、エスシタロプラムの有効性が確認されている。vortioxetineとTMSも、4週間以上の期間を要するものの有効と考えられる。クエチアピン、ピンドロール、d-fenfluramineでは、有効性が認められなかった」としている。
■関連記事
パニック症に対する薬物療法のシステマティックレビュー
パニック症への薬物治療のリスクとベネフィット
パニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か
(鷹野 敦夫)
[ 最新ニュース ]

局所進行頭頸部扁平上皮がんの維持療法、アテゾリズマブvs.プラセボ/JAMA(2025/03/31)

CEA中の超音波血栓溶解法、第III相試験の結果/BMJ(2025/03/31)

ベンゾジアゼピンによる治療はアルツハイマー病の重大なリスク因子なのか(2025/03/31)

限局型小細胞肺がん、CRT後のデュルバルマブ承認/AZ(2025/03/31)

ベネトクラクス、再発・難治マントル細胞リンパ腫に追加承認/アッヴィ(2025/03/31)

「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン」改訂のポイント/日本胃癌学会(2025/03/31)

極端な暑さは高齢者の生物学的な老化を早める(2025/03/31)

一人暮らしの認知症者は疎外されやすい?(2025/03/31)
[ あわせて読みたい ]
Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07)
薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30)
全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31)
ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15)
診療よろず相談TV(2013/10/25)
在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)
「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)
柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)
松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)
シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)