統合失調症患者の再入院までの期間に、退院後の持効性抗精神病薬(LAI)治療または経口抗精神病薬治療によって違いがあるのか、台湾・高雄医学大学のChing-Hua Lin氏らが比較検討を行った。さらに、LAI処方率の傾向についても併せて調査を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年7月1日号の報告。
2006~17年に試験の実施施設から退院した統合失調症患者1万3,087例を対象に、退院後、自然主義的な条件下でフォローアップを行った。主要アウトカムは、再入院までの期間とした。LAIと経口抗精神病薬および第1世代LAIと第2世代LAIの比較において、生存分析を用いて評価した。LAIの処方率に関する時間的傾向の存在は、単純線形回帰およびコクラン・アーミテージ傾向検定を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・退院後1年間では、LAI群は、経口抗精神病薬群と比較し、再入院率が有意に低く、再入院までの期間が有意に長かった。
・第1世代LAI群と第2世代LAI群では、再入院率および再入院までの期間に有意な差は認められなかった。
・第1世代LAI群では、第2世代LAI群と比較し、抗コリン薬を投与された割合が有意に高かった。
・LAI処方率は、2006~17年にかけて、年平均0.5%の有意な増加が認められた。
著者らは「再入院リスクの低減において、LAIは経口抗精神病薬よりも有意に優れていたが、第1世代LAIと第2世代LAIでは同等であった。しかし、第2世代LAIは、第1世代LAIよりも抗コリン薬併用率が低かった。LAI処方率の増加は、臨床医がLAIによる患者の治療で経験を積み、成功体験を重ねたことに起因すると考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)