多くの国際的な研究において、自殺や自殺企図の頻度には、春または夏にピークを迎えるといった季節的なパターンがあるといわれている。ドイツ・ドレスデン工科大学のMichael Bauer氏らは、双極I型障害患者における日照量と自殺企図歴との関連について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年6月号の報告。
日照量は、太陽からの光エネルギーが地表に当たる量とした。北および南半球の広範囲な緯度の32ヵ国50施設より、双極I型障害患者5,536例のデータを収集した。自殺関連データは、51ヵ国310地点より3,365例のデータが利用可能であった。
主な結果は以下のとおり。
・自殺企図歴は、1,047例(31.1%)で認められた。
・自殺企図歴と冬季/夏季の平均日照量の比率との間に、有意な逆相関が認められた。
・この比率は、冬季の日照量が夏季に比べて非常に少ない地球の極に近い地域で最も小さく、年間を通じて日照量の変動が比較的少ない赤道付近の地域で最大となった。
・自殺企図に関連する他の因子は、女性、アルコールまたは薬物依存歴、より若年のコホートであった。
・国が後押しする宗教を有する国では、この関連性は小さくなった(すべての推定係数:p<0.01)。
著者らは「冬季と夏季の日照量が大きく変化する地域で生活している双極性障害患者は、自殺企図が増加している可能性がある。双極性障害の経過に対する日照量の影響については、さらなる調査が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)