日本では、統合失調症で入院する患者に対し、早期退院と地域ケアの提供を国として推奨している。ヤンセンファーマの中村 祐輔氏らは、日本の精神科病院における異なる退院計画の臨床的および経済的アウトカムについて分析を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2019年8月10日号の報告。
さまざまな退院計画について、患者の再発と病院の収入を比較するためシミュレーションを行った。4つの異なる退院計画(1、2、3ヵ月または4ヵ月以上)と病院の収入をモデル化する、異なるマルコフ連鎖からなる決定木を構築した。退院計画の一環としての外来患者に対する治療レジメンの変動もシミュレーションに含めた。とくに、リスペリドン持効性注射剤(RLAI)とリスペリドンのジェネリック医薬品(RIS GE)について検討を行った。
主な結果は以下のとおり。
・すべての退院計画において、外来患者に対するRLAIの使用は、RIS GEの使用と比較し、再入院数を減少させた。
・異なる退院計画は、経済的アウトカムの違いと関連が認められた。
・退院後の外来患者の継続的な治療は、病院にとっての主な収益要因の1つであった。
著者らは「外来患者へのRLAIの使用は、再入院を予防するうえで役立つことが示唆された。これにより、より良い地域ケアに貢献できると考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)