EGFR陽性NSCLC1次治療、ベバシズマブ+エルロチニブがPFS改善(CTONG 1509)/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/22

 

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのベバシズマブ+エルロチニブ併用療法の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのQing Zhou氏より発表された。

 CTONG 1509試験は、中国国内の14施設で実施されたオープンラベルの無作為化比較第III相試験である。症例登録期間は、2016年4月~2017年7月であり、主解析に用いたデータのカットオフは2019年1月であった。
 
・対象:化学療法未治療EGFR変異陽性(exon 19 del/exon 21 L858R)進行・再発NSCLC 311例
・試験群:ベバシズマブ(15mg/kg、3週ごと)+エルロチニブ(150mg/日)(Bev併用群)
・対照群:エルロチニブ(150mg/日)(ERL群)
・評価項目:
 [主要評価項目]独立評価委員会(IRC)による無増悪生存期間(PFS)
 [副次評価項目]主治医判定によるPFS、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏功期間(DOR)、安全性
 [探索的検討項目]耐性獲得に関与するバイオマーカー検索
 
 主な結果は以下のとおり。

・Bev併用群には157例、ERL群には154例が登録された。Exon 19 delとExon 21 L858Rは両群ともほぼ50%ずつで、脳転移ありは両群とも約30%と均等に割り付けられていた。
・追跡期間中央値はBev併用群22.0ヵ月、ERL群で21.5ヵ月であった。
・IRC評価によるPFS中央値はBev併用群18.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:15.2~20.7)、ERL群11.3ヵ月(95%CI:9.8~13.8)であり、ハザード比(HR)は0.55(95%CI:0.41~0.75)でp値<0.001とBev併用群が良好であった。
・IRC評価によるEGFR変異タイプごとのPFSは、Exon 19 delで中央値17.9ヵ月対12.5ヵ月、HRは0.62(95%CI:0.41~0.92)、Exon 21 L858Rでは19.5ヵ月対9.7ヵ月、HRは0.51(95%CI:0.33~0.79)と、同様にBev併用群が良好であった。
・IRC評価による脳転移の有無別のPFSは、脳転移ありグループでHR 0.50(95%CI:0.28~0.88)、脳転移なしグループでHR 0.59(95%CI:0.42~0.85)であった。
・IRC評価によるORRは、Bev併用群で86.3%、ERL群で84.7%であり、DOR中央値はそれぞれ16.6ヵ月と11.1ヵ月で、HRは0.59(95%CI:0.42~0.82)であった。
・Grade3以上の有害事象はBev併用群53.5%、ERL群25.5%でありBev併用群では皮疹、蛋白尿、高血圧、下痢が多く認められたが、未知の有害事象はなかった。
・耐性に関わると思われる治療後の新たな遺伝子変異はERL群で多く認められ、T790MはBev併用群で33%、ERL群で42%に認められた。

 Zhou氏は「ベバシズマブ・エルロチニブ併用療法は、EGFR変異陽性NSCLCに対する新たなる標準治療となりえる」と結んだ。

(ケアネット)