統合失調症の維持療法における抗精神病薬使用ガイドラインのレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2020/01/09

 

 慶應義塾大学の下村 雄太郎氏らは、統合失調症の維持期における抗精神病薬治療に関する臨床ガイドラインおよびアルゴリズムについて、臨床実践に導くために、これまでのシステマティックレビューに、最新の知見を含めて更新した。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年11月26日号の報告。

 統合失調症の維持期における抗精神病薬治療に関する臨床ガイドラインおよびアルゴリズムを特定するため、MEDLINE、Embaseよりシステマティックに文献検索を行った。ガイドライン/アルゴリズムの全体的な品質をAGREE IIに従って評価し、治療推奨事項に関する情報を抽出した。

 主な結果は以下のとおり。

・2012年のシステマティックレビュー以降に新たに報告された11件を含む20件のさまざまな地域におけるガイドライン/アルゴリズムを特定した。
・すべてのガイドライン/アルゴリズムは、一定レベルの品質を満たしていた。
・推奨、部分的推奨、非推奨に分類した。
・抗精神病薬の中止戦略に関するガイドライン/アルゴリズムの6件中5件において、複数エピソードの統合失調症に対する抗精神病薬の中止戦略は非推奨であった。
・一方で、統合失調症全般(13件中7件、2013年以降では8件中7件)および初回エピソード統合失調症(11件中10件、2013年以降では7件中7件)においては、抗精神病薬の中止戦略は、非推奨から部分的推奨へ移行する傾向が認められた。
・抗精神病薬使用における断続的/標的戦略は、減少していた(9件中9件)。
・抗精神病薬の中止戦略と同様に、すべての更新または新規のガイドライン/アルゴリズムでは、抗精神病薬の減量/低用量戦略を推奨していた(6件中6件)。

 著者らは「統合失調症の維持期における抗精神病薬治療に関する最近の臨床ガイドラインおよびアルゴリズムでは、抗精神病薬の中止、減量、低用量戦略にシフトしていることが示唆された。しかし、臨床医は、これらの戦略のリスクとベネフィットを個々の患者に応じてよく考える必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)