統合失調症患者の服薬アドヒアランスを改善するために、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が使用される。しかし、日本ではまだ一般的ではない。現在、アリピプラゾールLAIの投与は、臀部筋肉内に加え三角筋内への投与が可能となっている。名城大学の亀井 浩行氏らは、アリピプラゾールLAIの投与経路を臀部から三角筋へ変更することによる、患者の受け入れ状況について調査を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。
対象は、アリピプラゾールLAIの臀部筋肉内投与を6ヵ月以上行った統合失調症外来患者32例。三角筋内への投与に切り替えた3ヵ月後に、痛みや恥ずかしさの変化について評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・投与経路の切り替えは、32例中17例が選択した。
・3ヵ月後、9例が満足のいく評価をし、三角筋内への投与を継続していた。
・三角筋内投与へ切り替える際の主な理由は、臀部筋肉内投与に関連する注射部の痛みと恥ずかしさであった。
・三角筋から臀部筋肉内投与へ戻す際の主な理由は、三角筋内投与で経験する痛みであった。
著者らは「注射部位を選択できることは、アリピプラゾールLAI使用の普及につながるであろう」としている。
(鷹野 敦夫)