急性期統合失調症に対する認知リハビリテーションの可能性

多くの研究において、統合失調症患者に対する認知リハビリテーションが有用なアウトカムを示しているが、日常的および社会的機能に対する認知リハビリテーションの有効性は、よくわかっていない。また、認知リハビリテーションの内容や方法に関する検討は不可欠ではあるが、実施するタイミングも重要であると考えられる。東邦大学の根本 隆洋氏らは、急性期統合失調症患者に対する認知リハビリテーションの実現可能性および受容性について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年3月26日号の報告。
入院病棟へ急性期入院した患者を15ヵ月間連続でエントリーし、入院後14日以内に8週間の認知リハビリテーションプログラムに参加できるかどうかを評価した。患者の状態や負担を考慮し、ワークブック形式の認知リハビリテーションプログラムを行った。
主な結果は以下のとおり。
・エントリー期間中に新規入院した83例のうち、49例(59.0%)の患者が対象となった。
・そのうち、22例(44.9%)が認知リハビリテーションプログラムへの参加に同意し、プログラムを開始した。
・プログラムを完了した16例に対し、2回目の評価を行った。
・実際に研究プログラムを完了した患者の割合は、適格患者の32.7%(49例中16例)であった。
・参加者は、プログラムに対し、非常に満足していた。
著者らは「急性期統合失調症患者に対する認知機能改善の実現可能性および受容性を示す有望な結果が得られた。初回エピソード統合失調症患者に対する認知リハビリテーションの提供は、より良い機能アウトカムにつながることが期待できる」としている。
(鷹野 敦夫)
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