国立精神・神経医療研究センターの山田 悠至氏らは、境界性パーソナリティ障害の入院患者における再入院に関連する予測因子を特定するため、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年10月10日号の報告。
本観察研究では、2013年1月~2016年1月に国立精神・神経医療研究センター病院に入院した境界性パーソナリティ障害患者83例を対象に評価を行った。データは、電子カルテよりレトロスペクティブに収集した。
主な結果は以下のとおり。
・再入院群と非再入院群を比較すると、入院時の抗精神病薬の1日量(クロルプロマジン換算量)および精神疾患の重症度に有意な差は認められなかった。
・多変量ロジスティック回帰分析では、退院時にクロルプロマジン換算400mg超の抗精神病薬が使用されていると、1年以内の再入院率の上昇が認められた。
著者らは「境界性パーソナリティ障害患者に対する退院時の高用量抗精神病薬の使用は、再入院のリスク因子である可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)