慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対する1次治療として、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブとBCL-2阻害薬ベネトクラクスの併用療法の有用性をみた国際多施設共同第II相試験CAPTIVATEの追加解析結果について、イタリア・ビタ・サルート・サンラファエル大学のPaolo Ghia氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。
CAPTIVATE試験は、被験者を微小残存病変(MRD)コホートと治療期間を固定したFixed-duration(FD)コホートに分けて実施。MRDコホートの分析結果は2020年の米国血液学会(ASH)で既に報告されており、イブルチニブを3サイクル投与後、12サイクルのイブルチニブ(Ib)+ベネトクラクス(V)を投与したところ、3分の2以上が検出不能なMRD(uMRD)となり、さらにIb+V投与後にMRDの状態に基づいた無作為化治療を実施したところ、30ヵ月後の無増悪生存(PFS)率が95%以上と高い奏効を示した。
今回はFDコホートの分析結果が発表された。
・対象:70歳以下で治療歴のない、ECOG PS 0~2のCLL/SLL患者
・介入:Ib(420mg/日)を3サイクル投与後、Ib(同量)+V(最初の5週間で20mgから400mg/日まで増量)を12サイクル投与
・評価項目:
[主要評価項目]
17p欠失のない患者における完全奏効(CR)および血球数が未回復な完全奏効(CRi)率
[副次評価項目]
奏効率(ORR)、奏効期間、uMRD率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、腫瘍崩壊症候群(TLS)リスク低減、安全性
主な結果は以下のとおり。
・159例(年齢中央値60歳)が登録され、Ibによる導入治療を完了して併用療法を開始したのは153例、12サイクルのIb+V療法を完了したのは147例(92%)、観察期間中央値は27.9(0.8~33.2)ヵ月だった。
・高リスク要因は、IGHV(免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子)変異なしが56%、17p欠失/TP53変異が17%、17p欠失が13%、11q欠失が18%、複雑核型が19%だった。またリンパ節のサイズが5cm以上の患者は30%だった。
・17p欠失なし(136例)におけるCR/CRi率は56%(95%信頼区間:48~64)、全患者では55%(48~63)となり、事前に設定された最小値37%を有意に超え(p<0.0001)、主要評価項目を達成した。高リスク群でも同様の結果だった。
・全体のORRは96%、24ヵ月間のPFSは95%、OSは98%だった。
・末梢血では77%、骨髄では60%が最高のuMRD反応を得た。
・有害事象(AE)は主にGrade1/2だった。最も多かったGrade3/4のAEは、好中球減少(33%)、感染症(8%)、高血圧(6%)等だった。AEによる投与中止は8例(5%)で、Ibのみが5例、Ib+Vが3例だった。
Ghia氏は、CLL/SLL初回治療としてのIb+V療法は、化学療法を行わない固定期間のレジメンとして高リスク群を含む患者に対し、深い奏効と持続的な奏効を示し、新たな安全性の問題も認められなかった、とした。同じレジメンで高齢者を対象とした第III相試験のGLOW試験が進行中だという。
(ケアネット 杉崎 真名)