初発急性骨髄性白血病(AML)はシタラビンによる強力寛解導入療法が標準治療となるが、毒性が強く高齢者や合併症のある患者は不適となる。不適患者にはベネトクラクスと脱メチル化薬(HMA)の併用療法が推奨されるが、臨床応用ははじまったばかりでリアルワールドのデータは乏しい。
こうした状況において開発中のaspacytarabine(BST-236)はシタラビンのプロドラッグで、シタラビンの曝露量を減少させ、全身毒性を軽減する。このaspacytarabineの有用性をみた多施設共同シングルアーム第II相試験の中間解析結果を、ノースウェスタン大学Jessica K. Altman氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。
・対象:標準化学療法不適の初発AML患者
・介入:aspacytarabine 4.5g/m2/日(シタラビン3g/m2/日に相当)を6日間静脈内投与、寛解導入療法1~2コースと地固め療法1~3コース
・評価項目:
[主要評価項目]完全寛解(CR)率
[副次評価項目]最小残存病変(CRMRD)陰性、全生存期間(OS)、奏効期間、安全性
主な結果は以下のとおり。
・aspacytarabineの1~4コースを完了した46例が解析対象となった。年齢中央値75歳、ECOG PS 0~1が27例(59%)、2が19例(41%)だった。
・26例(63%)がde novo AML、17例(37%)が二次性で、うち6例(13%)がHMAによる前治療を受けていた。
・ベースライン時の骨髄芽球中央値は52%で、欧州白血病ネット(ELN)スコアが不利または中間の患者はそれぞれ54%と29%だった。
・全CR率は39%、HMA±ベネトクラクス未治療群は45%、de novo AML群は52%、二次性群は18%だった。
・完全寛解のうち、63%が最小残存病変(MRD)陰性だった。
・20%以上の患者で発生した有害事象は、発熱性好中球減少症(57.4%)、低カリウム血症(44.7%)、末梢性浮腫(42.6%)などだった。Grade3以上の有害事象は、発熱性好中球減少症(48.9%)、血小板減少症(38.2%)、貧血(27.7%)などだった。
Altman氏はaspacytarabineの反復投与における安全性と忍容性が確認されたとしている。一方で本試験は奏効期間中央値12ヵ月、全生存期間中央値24ヵ月(フォローアップ終了時)にいずれも達しておらず、最終結果は今後の学会で発表される予定となっている。
(ケアネット 杉崎 真名)