男性の精子数、mRNAワクチン接種で減少なし/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/19

 

 COVID-19感染後に男性の生殖機能に障害が生じるという複数の報告※1※2があるが、mRNAワクチン接種後に精子の状態を調べた研究では、精子濃度が高まり、精液量と精子運動性も高まったことが確認されたという。JAMA誌オンライン版2021年6月17日号Research Letterの報告。

 米マイアミ大学で行われたこの単施設の前向き研究では、18~50歳までの健康な男性をボランティアとして募集。参加者は不妊症の基礎疾患がないことが確認され、COVID-19有症状者と90日以内の検査結果陽性者は除外された。参加者は2~7日間の禁欲後、1回目のワクチン接種前と2回目のワクチン接種から約70日後に精液サンプルを提出した。

 主な結果は以下のとおり。

・2020年12月17日~2021年1月12日に45例が登録した(年齢中央値:28歳[IQR:25~31])。2回目接種後サンプルは中央値75(IQR:70~86)日目に提出され、試験は2021年4月24日に終了した。
・サンプル接種前の禁欲期間は、ベースライン時は中央値2.8(IQR:2~3)日、フォローアップ時は中央値3(IQR:3~4)日だった。
・45例中、21例(46.7%)がBNT162b2(ファイザー製)を接種し、24例(53.3%)がmRNA-1273(モデルナ製)を接種した。
・ベースライン時の精子濃度は2,600万/mL(IQR:1,950~3,400)、総運動精子数(TMSC)は3,600万(IQR:1,800~5,100)だった。2回目接種後、精子濃度中央値は3,000万/mL(IQR:2,150~4,050、p=0.02)、TMSC中央値は4,400万(IQR:2,700~9,800、p=0.001)と有意に上昇し、精液量と精子の運動性も有意に増加した。
・ワクチン接種前には45例中8例が乏精子症だった(濃度中央値:850万/mL[IQR:510~1,200])が、8例中7例は追跡調査で正常精子域まで精子濃度が増加した(中央値:2,200万/mL[IQR:1,700~2,550])。
・ワクチン接種後に無精子症になった例はなかった。

 研究者らは、mRNAワクチンが精子のパラメータに影響を与える可能性は低く、数値の増加は通常の個人差の範囲内であり、2回目のサンプル採取までの禁欲期間が長くなったことが要因の一つとして考えられる、としている。

(ケアネット 杉崎 真名)