新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック当初、同疾患の特徴の1つとしてしもやけ様の皮膚疾患の増大が盛んに報じられた。米国・Permanente Medical GroupのPatrick E. McCleskey氏らは、COVID-19罹患率としもやけ罹患率の相関性について、これまで疫学的な検討がされていなかったとして、北カリフォルニアの大規模集団を対象に評価した。23地点・9ヵ月間にわたって集めたデータを分析した結果、パンデミック中にしもやけ罹患率は増大したが、COVID-19罹患率との相関関係は弱いことが示されたという。著者は、「今回の研究結果は、COVID-19との因果関係による結果であると思われる。パンデミック中にしもやけを有した患者の受診機会が増えたことや、外出制限の措置中の行動変化による可能性が示唆される」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年6月23日号掲載の報告。
研究グループは、COVID-19罹患率としもやけ罹患率に相関性があるかを後ろ向きコホート研究にて評価した。2016年1月1日~2020年12月31日(パンデミック前およびパンデミック中)における、440万人が加入するカイザーパーマネンテ北カリフォルニア(健康保険システム)の全年齢加入者データを集めて行われた。COVID-19罹患率は、北カリフォルニアの207地点月(location-months)のデータ(23地点・9ヵ月間)を集めて解析した。
主要評価項目は、しもやけ罹患率とし、207地点月のCOVID-19発生率との関連性を、Spearman順位相関係数を用いて調べた。
主な結果は以下のとおり。
・パンデミック中に報告されたしもやけ患者は780例で、パンデミック前と比較し罹患率は上昇した。うち464例が女性(59.5%)、平均年齢は36.8(SD 21.8)歳であった。
・COVID-19罹患率としもやけ罹患率に相関性は認められた(Spearman係数は0.18、p=0.01)が、パンデミック中にしもやけを有し、検査でSARS-CoV-2陽性だった患者は17/456例(3.7%)のみで、しもやけを診断されてから6週間以内にSARS-CoV-2陽性だった患者は9/456例(2.0%)のみだった。
・検査でSARS-CoV-2 IgG抗体陽性だった患者は、1/97例(1.0%)であった。
・人種年齢性別の層別解析においては、中南米系の患者がCOVID-19症例の46%を占めたが、しもやけ症例では9%と影響を認められなかった。
(ケアネット)