米国のリアルワールドにおける精神科医、統合失調症患者、その介護者の治療目標の類似点および相違点について、米国・Lundbeck社のHeather M. Fitzgerald氏らが調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年10月21日号の報告。
精神科医および成人統合失調症患者を対象として2019年6月~10月に実施した調査(Adelphi Schizophrenia Disease Specific ProgrammeTM)よりデータを収集した。精神科医は、連続した8例の外来患者および2例の選択基準に適合する入院患者についての情報を提供した。調査に参加した精神科医、患者、介護者は、調査の一環として治療目標に関する質問に回答した。
主な結果は以下のとおり。
・精神科医124名は、統合失調症患者1,204例のデータを提供した。薬物療法に関するデータが1,135例(外来患者928例[82%]、入院患者207例[18%])分含まれていた。また、アンケートは患者555例および介護者135例より収集した。
・最も重要な治療目標として、主要な症状の改善と回答した患者の割合は、患者自身は64%、精神科医は63%、介護者は68%であった。
・患者、精神科医、介護者はいずれにおいても、性的問題が少ない、体重増加が少ないの項目を最も重要度の低い目標としていた。
・患者は、現在投与されている薬剤が最も重要な目標達成のために必要であると感じていた(症状の改善:68%、思考の明瞭さ:39%)。
・治療方法や年齢別の分析においても、治療目標に対する全体的な傾向は類似していた。
著者らは「主要な治療目標は、症状改善であることが明らかとなった。この調査結果は、患者、精神科医、介護者が話し合いをするうえで役立ち、効果的なマネジメント戦略や共通の意思決定を促進する可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)