抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体(mAb)による片頭痛の予防的治療に成功し治療を中断すると、その後、片頭痛の頻度は増加することが報告されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBianca Raffaelli氏らは、片頭痛治療を再開した場合の症状の経過を評価するため、検討を行った。The Journal of Headache and Pain誌2022年3月30日号の報告。
対象は、3ヵ月の休薬期間後に同じ抗CGRP mAbで治療を再開した片頭痛患者。頭痛に関するデータを、以下の4回の受診時に収集した。(1)最初のmAb治療を開始する前の4週間(ベースライン)、(2)最初のmAb治療を中断する前の4週間、(3)休薬期間の13~16週目、(4)治療再開後の9~12週目。アウトカムは、観察期間全体における1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、1ヵ月当たりの急性頭痛薬の使用日数(AMD)、頭痛による日常生活への支障度尺度(HIT-6)スコア、それぞれの変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者数は39例(エレヌマブ:16例、ガルカネズマブまたはフレマネズマブ:23例)。
・MMDは、休薬期間終了時の12.3±6.3から治療再開3ヵ月後の7.8±5.5への減少が認められた(p=0.001)。
・この治療再開後の改善は、最初の治療期間での反応と同様であった(ベースライン時のMMD:12.3±6.3、治療中断前のMMD:7.5±5.2)。
・MHDとAMDは、治療再開後に有意な改善が認められた。
・HIT-6スコアの低下が認められ、頭痛による日常生活への影響の減少が確認された。
著者らは「休薬期間後に抗CGRP mAbによる治療を再開すると、片頭痛の頻度や急性頭痛薬の使用が有意に減少し、QOLが向上することが明らかとなった」としている。
(鷹野 敦夫)