非淡明細胞型の進行腎細胞がん(nccRCC)に対する1次治療としてのペムブロリズマブとレンバチニブの併用療法が良好な有用性を示すことが、フランス・Gustave RoussyのLaurence Albiges氏から欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。
淡明細胞型の進行腎細胞がんに対するこの2剤併用の有用性については、すでに第III相のKEYNOTE-581試験の発表があるが、今回はnccRCCに対する第II相KEYNOTE-B61試験の初回解析結果の公表である。
・対象:未治療の進行nccRCC症例(147例)
・試験群:ペムブロリズマブ400mg 6週ごと+レンバチニブ20mg連日
ペムブロリズマブは最長18サイクル(約2年)まで
・評価項目:
[主要評価項目]独立評価委員会判定による奏効率(ORR)
[副次評価項目]病勢制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・有効性の解析は観察期間が24週間以上の82例を対象とし、安全性は全症例の147例を対象とした。データカットオフの2022年1月時点では123例が治療を継続中であった。
・有効性評価対象82例のPD-L1発現CPS1以上は67.1%、CPS1未満が26.8%、IMDCリスク分類で低リスクが39.0%、中・高リスクが61.0%であった。肉腫成分を有する症例は12.2%、病理組織型では乳頭状が62.2%、嫌色素性が18.3%であった。また、肝転移ありが17.1%、骨転移ありが29.3%だった。
・ORRは47.6%(CR:3.7%)で、何らかの腫瘍縮小が認められた症例割合は86.5%で、DCRは79.3%であった。
・乳頭状がんのORRは52.9%、嫌色素性がんでは13.3%であった。
・PD-L1発現によるORRについて、CPS1以上では54.5%、CPS1未満では27.3%、IMDCリスク分類が低リスクで56.3%、中・高リスクは42.0%であった。
・観察期間中央値8.2ヵ月時点でのDoR中央値は未到達であった。奏効までの期間中央値は2.8ヵ月だった。
・PFS中央値は未到達で、6ヵ月PFS率は72.3%であった。OS中央値も未到達で、6ヵ月OS率は87.8%だった。
・治療関連有害事象は86.4%に発現し、主なものは高血圧、下痢、甲状腺機能低下、発声障害、倦怠感などであった。治療関連死はなかった。
最後に演者は「ペムブロリズマブとレンバチニブ併用療法はnccRCCに対する1次治療の可能性を示唆した。試験は現在進行中で、全症例のデータは今後発表される予定である」と述べた。
(ケアネット)