中国・香港大学のFrancesco Recchia氏らは、重度でない成人うつ病の抑うつ症状軽減に対する運動介入、抗うつ薬治療、これらの併用療法の有効性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、重度でない成人うつ病患者の抑うつ症状軽減に対し、運動介入と薬理学的介入の効果に差はないことを報告した。著者らは、「本結果は、このような患者に対する抗うつ薬治療の代替療法または補助療法として、運動療法の検討を支持するものである」としている。British Journal of Sports Medicine誌オンライン版2022年9月16日号の報告。
対象研究は、1990年以降に報告された重度でない成人うつ病患者を対象に、運動介入、抗うつ薬治療、これらの併用療法の有効性について単独または対照/プラセボと比較したランダム化比較試験とし、Embase、MEDLINE、PsycINFO、Cochrane Library、Web of Science、Scopus、SportDiscusより検索した。バイアスリスク、非直接性、ネットワークの全体的な信頼性の評価は、2人の独立した研究者により行った。抑うつ症状の重症度における介入後の群間比較を行うため、ネットワークメタ解析を実施した。介入後の治療中止は、治療に対する受容性として評価した。
主な結果は以下のとおり。
・25件の比較を含む21件のランダム化比較試験(2,551例)を分析に含めた。
・運動介入、抗うつ薬治療、これらの併用療法の治療効果に差は認められなかった。ただし、すべての治療は、対照群よりも有益であった。
●運動介入vs.抗うつ薬治療(標準化平均差[SMD]:-0.12、95%CI:-0.33~0.10)
●併用療法vs.運動介入(SMD:0.00、95%CI:-0.33~0.33)
●併用療法vs.抗うつ薬治療(SMD:-0.12、95%CI:-0.40~0.16)
・運動介入は、抗うつ薬治療よりも治療中止率が高かった(リスク比:1.31、95%CI:1.09~1.57)。
・不均一性は、中程度であった(τ2=0.03、I2=46%)。
(鷹野 敦夫)