モバイル網膜カメラで撮影した画像は視神経乳頭陥凹拡大の検出において、対面診療での眼科検査と比較して、有用であることが報告された。Cureus誌2022年8月17日号掲載の報告。
米国および世界における失明は予防可能であるが、健康保険の欠如や健康リテラシーの低さにより、眼科医療を受けられない人々が多く存在する。米国・NewYork-Presbyterian/Weill Cornell Medical CenterのDu Cheng氏らはiPhoneなどのデバイスおよび3Dプリンターでモバイル網膜カメラを開発し、ニューヨーク市で眼科検査のスクリーニングイベントを実施した。
参加者は112人で、現地で眼科医の監督の下、訓練を受けた医学生により近視・遠視、瞳孔反射、眼球運動、眼圧に関してスクリーニングが実施された。すべての参加者に、モバイル網膜カメラでの網膜写真(拡張後)の撮影後、眼科医によって間接検眼鏡による拡張眼底検査が行われた。
主な結果は以下のとおり。
・モバイル網膜カメラの画質について眼科医の評価は「良好」が56%、「適切」が41%、「不適切」が3%であった。
・遠隔健康眼科評価の有効性について、対面眼科医の読影に基づく遠隔画像による視神経乳頭陥凹拡大の検出感度は92%であり、一致の特異度は83%であった。
・対面眼科医は評価した86人のうち34人をさらに他の眼科医に紹介するよう勧めた。一方、遠隔画像を使用した眼科医は86人の評価対象者のうち42人をさらに他の眼科医に紹介するよう勧めた。よって、遠隔画像の感度は71%であり、特異度は65%であった。
著者らは「この装置は持ち運びができ、価格も手頃で、眼科医のトレーニングが比較的少ない人でも使用することができる。この手頃な価格のモバイル網膜カメラの有用性を実証し、十分な医療サービスを受けていない人々を対象とした地域のスクリーニングイベントで遠隔健康眼科評価を行うことにより、病気を発見し長期ケアにつなげることができるだろう」と述べている。
(ケアネット 木村 まゆみ)