カナダ・Probity Medical ResearchのKim A. Papp氏らは、乾癬患者を対象とした第III相試験で用いられた患者報告に基づくPsoriasis Symptoms and Signs Diary(PSSD)スコアの変化を、Patient Global Impression of Change(PGI-C)スコアおよびPatient Global Impression of Severity(PGI-S)スコアに照らし合わせ、患者にとって臨床的に意義のある有意な改善を示すPSSDスコアの変化量を検討した。解析の結果、PSSDスコアのベースラインからの改善が15ポイント以上の場合、PGI-Cスコアに意義のある変化が示された。乾癬の臨床試験では、PSSDスコアのベースラインからの変化が、患者報告アウトカムとして広く用いられているが、臨床的に意義のあるスコア変化の閾値が、臨床試験の設定では確立されていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年12月20日号掲載の報告。
研究グループは、Program to Evaluate the Efficacy and Safety of Deucravacitinib, a Selective TYK2 Inhibitor(POETYK), PSO-1(POETYK PSO-1)試験のデータを用いて、PSSDの臨床的に意義のあるスコア変化の閾値を評価した。
POETYK PSO-1試験は、成人の中等症~重症の乾癬患者を対象に、選択的TYK2阻害薬デュークラバシチニブの有効性と安全性を評価した国際共同第III相多施設共同無作為化二重盲検試験。本試験は、2018年8月7日~2020年9月2日に行われた。対象患者には、デュークラバシチニブ6mg(1日1回)またはプラセボ、アプレミラスト30mg(1日2回)のいずれかを投与し、追跡調査した。
今回の解析では、PSSDを毎日報告していた成人患者を対象とし、ベースラインから16週時までのPSSDスコアの平均変化量を、PGI-CおよびPGI-Sの改善のカテゴリーに照らし合わせて、臨床的に意義のあるスコア変化の閾値を導出した。
主な結果は以下のとおり。
・解析には、666例が含まれた。平均年齢は46.1(標準偏差13.4)歳、男性が453例(68.0%)であった。
・ベースラインでPGI-SとPSSDを報告していたのは601例であった。16週時点でPGI-SとPSSDを報告していたのは481例であり、PGI-CとPSSDを報告していたのは486例であった。
・609例を対象とした解析により、以下の3つの閾値が特定された。
・PSSDスコアのベースラインから16週までの変化が15ポイント以上の場合、PGI-Cの臨床的に意義のある改善のカテゴリーに該当することが示された。
・PSSDスコアの変化が25ポイント以上の場合、PGI-SおよびPGI-Cの両方が臨床的に意義のある改善のカテゴリーに該当することが示された。
・PSSDスコアの変化が30ポイント以上の場合、乾癬の症状が大きく改善(PGI-Cによる評価が非常に大きく改善/大きく改善)した患者が特定された。
(ケアネット)