自宅で食べる朝食が子どものメンタルに大切

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/10/10

 

 健康管理のために朝食が大切だとしばしば指摘されるが、子どもの場合は、朝食を欠かさないことだけでなく、「何を、どこで」食べるかも重要である可能性を指摘する研究結果が、「Frontiers in Nutrition」に8月23日掲載された。カスティーリャ・ラ・マンチャ大学(スペイン)のJose Francisco Lopez-Gil氏らの研究によるもの。論文の筆頭著者である同氏は、「家から離れた場所で朝食を食べることは、食事を完全にスキップするのと同じくらい、子どもたちのメンタルヘルスに良くないことかもしれない。その理由は、自宅外で食べる朝食は栄養価が低いことが多いためとも考えられる」と述べている。

 Lopez-Gil氏らの研究は、子どもたちの朝食摂取習慣と心理社会的な問題の発生との関連性を調べることを目的として実施された。スペインで行われている国民健康調査の2017年のデータを二次的に解析。対象は同国の4~14歳の子ども3,772人(平均年齢9.4±3.2歳、男児50.6%)。朝食の摂取習慣や心理社会的問題については、保護者へのアンケートにより把握した。全体の98.9%は習慣的に朝食を摂取していて、96.8%は自宅で摂取していた。

 解析の結果、朝食の欠食や自宅外での摂取は、心理社会的問題の発生率の高さと有意な関連が認められた〔欠食はオッズ比(OR)3.29(95%信頼区間1.47~7.35)、自宅外での摂取はOR2.06(同1.27~3.33)〕。また、朝食に、コーヒー、牛乳、紅茶、ココア、ヨーグルトなどを摂取しないことが、心理社会的問題の発生率の高さと関連があった〔OR1.76(1.21~2.55)〕。同様に、パン、トースト、穀類などを食べないことも、問題発生率の高さと関連していた〔OR1.31(1.01~1.73)〕。一方、卵、チーズ、ハムなどを食べないことは、オッズ比の低さと関連していた〔OR0.56(0.38~0.83)〕。

 Lopez-Gil氏は、「加工肉などの特定の食品は、これらの問題のリスクを高め、乳製品や穀類はリスクを下げるような傾向が見て取れる」と考察。結果を総括して、「われわれの研究は、子どもたちが朝食を食べることが重要であるだけでなく、どこで朝食を食べ、何を食べるかも重要であることを示唆している。朝食を抜いたり、家から離れた場所で食べたりすることは、心理社会的問題の発生率の高さと関連している。特に自宅外で食べることとの関連性は、本研究が初めて明らかにしたポイントだ」と述べている。

 今回発表された研究はスペイン国内で実施されたものだが、朝食の重要性はほかの地域で行われた研究からも示されている。それらの研究結果からは、栄養価の高い朝食を学校給食として摂取できるような環境が、子どもの行動に良好な影響を与える可能性が示唆されている。また、自宅での朝食時に家族のサポートを受けられるか否かなどの環境要因も、子どもの行動に影響を及ぼすのではないかとも指摘されている。

 ただしLopez-Gil氏らは、「子どもの朝食摂取習慣と心理社会的問題との関連の因果関係の理解には、さらなる研究が必要だ」としている。とは言え、「子どもの心理社会的問題を防ぐには、朝食を健康的なライフスタイルの一部として推奨するだけではなく、家庭で食べることを推奨する必要があるのではないか。さらに、朝食に乳製品や穀物を加え、飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む動物性食品を最小限に抑えることで、それらの問題行動のリスクを抑制可能かもしれない」と同氏は期待を述べている。

[2022年8月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら