肥満男性は年々増加しているが、多くの男性が減量プログラムに消極的である。そこで英国・グラスゴー大学のKate Hunt氏らは、スコットランド・プレミアリーグ傘下のサッカークラブに依頼をして、各地域でクラブのコーチが指導を行う減量プログラムを開発し、“サッカーファンの肥満男性”に参加してもらい効果を検証した。実践的無作為化比較試験にて行われた本検討の結果、参加被験者の体重が減少し臨床的効果が認められたという。Lancet誌オンライン版2014年1月20日号掲載の報告より。
プレミアリーグクラブのコーチが指導する減量プログラムを開発
研究グループは、サッカーファンのための減量・健康生活プログラム(Football Fans in Training:FFIT)の効果を評価することを目的に、2群比較の実践的無作為化試験を行った。13のスコットランドのプロサッカークラブから、35~65歳でBMI 28以上のサッカーファンの男性747例を集めた。被験者はクラブごとに階層化され、毎週開催の12のセッション(各クラブのコーチによる減量プログラム)に参加するよう介入群(374例)と対照群(374例)に無作為に割り付けられた。
介入群には、3週間以内に減量プログラムが開始され、対照群は、12ヵ月間待機するよう指示された。被験者には全員、体重管理の小冊子が配布された。
主要アウトカムは、12ヵ月時点の両群の体重減少の平均差であった。評価は、絶対体重とパーセンテージ(減量率)で評価した。なお主要アウトカムは、マスキングされ、解析はintention to treatにて行われた。
12ヵ月後、介入群と対照群とで有意な体重減少の差
12ヵ月時点の評価を受けたのは、介入群89%(333例)、対照群95%(355例)だった。
12ヵ月時点での両群間の体重減少の平均差は、ベースライン時体重とクラブで補正後、4.94kg(95%信頼区間[CI]:3.95~5.94)だった。減量率は、同様の補正後4.36%(同:3.64~5.08)で、いずれにおいても介入の有意性が認められた(p<0.0001)。
重大有害イベントは8件報告された。介入群では5例(既往狭心症の服薬による意識喪失、胆嚢切除、心筋梗塞疑いの入院、消化管破裂、アキレス腱断裂)、対照群は3例(一過性脳虚血発作、2例の死亡)だった。これらのうち、プログラムに関連していたのは、胆囊切除とアキレス腱断裂の2つだった。
以上を踏まえて著者は、「FFITプログラムは、多くの男性の臨床的に有意義な減量に役立つ可能性がある。男性肥満への効果的なチャレンジ戦略である」とまとめている。
(武藤まき:医療ライター)