プラチナベースの化学療法と抗PD-1/抗PD-L1抗体による治療を受けたKRAS G12C変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して、経口adagrasibは、臨床的有効性を示し新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A. Janne氏らによる、進行固形がん患者を対象に行われている「KRYSTAL-1第I-II相試験」の一部である第II相コホート116例を対象とした検討の結果で、NEJM誌オンライン版2022年6月3日号で発表された。「KRYSTAL-1試験」の第I相-1b試験でKRAS G12C阻害薬adagrasibの臨床的活性および忍容可能な有害事象プロファイルは確認されていた。
奏効率、奏効期間、無増悪生存などを検証
同試験第II相コホートでは、プラチナベースの化学療法と抗PD-1または抗PD-L1抗体による治療を受けた
KRAS G12C変異陽性のNSCLC患者を対象に、adagrasib(600mg経口投与、1日2回)の投与を評価した。
主要評価項目は、盲検化された独立中央レビューで評価した客観的奏効(OR)。副次評価項目は、奏効期間、無増悪生存(PFS)、全生存(OS)および安全性などだった。
奏効期間中央値は8.5ヵ月、無増悪生存期間は6.5ヵ月
2021年10月15日時点で、計116例の適格被験者がadagrasibによる治療を受けており(追跡期間中央値は12.9ヵ月)、うち98.3%が化学療法と免疫療法両方の既治療者だった。
ベースラインで測定可能病変のあった112例中、ORが認められたのは48例(42.9%)だった。奏効期間中央値は8.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.2~13.8)、PFS期間中央値は6.5ヵ月(4.7~8.4)だった。
2022年1月15日時点(追跡期間中央値:15.6ヵ月)で、OS中央値は12.6ヵ月(95%CI:9.2~19.2)だった。
中枢神経系統に安定した転移を認めた既治療患者33例において、頭蓋内OR率は33.3%(95%CI:18.0~51.8)だった。
治療関連の有害事象は97.4%で認められ、うちGrade1/2が52.6%、Grade3以上が44.8%(Grade5の2例を含む)報告された。投薬中止となった患者は6.9%だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)