現行の推奨治療を受けている慢性腎臓病(CKD)患者において、エンドセリンA受容体拮抗薬(ERA)zibotentanとSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの併用治療は、許容可能な忍容性と安全性プロファイルを示し、アルブミン尿を減少させ、CKDの進行を抑制する選択肢となることが示された。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らが「ZENITH-CKD試験」の結果を報告した。先行研究で、SGLT2阻害薬およびERAは、CKD患者においてアルブミン尿を減少させ、糸球体濾過量(GFR)低下を抑制することが報告されていた。今回、研究グループはzibotentan+ダパグリフロジンの有効性と安全性を評価した。Lancet誌オンライン版2023年11月3日号掲載の報告。
zibotentan+ダパグリフロジン併用vs.ダパグリフロジン単独を評価、第IIb相試験
ZENITH-CKD試験は、18ヵ国の診療施設170ヵ所で行われた第IIb相の国際多施設共同無作為化二重盲検実薬対照試験。被験者は、推定GFR(eGFR)が20mL/分/1.73m
2以上、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が150~5,000mg/gの成人(18歳以上90歳以下)を適格とした。
研究グループは被験者を無作為に2対1対2の割合で、(1)zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン10mg、(2)zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン10mg、(3)ダパグリフロジン10mg+プラセボの3群に割り付けた。全被験者にスクリーニング前の少なくとも4週間、安定用量のACE阻害薬またはARBを投与し、忍容性が認められた場合に(1)~(3)の割り付け治療薬が1日1回12週間投与された。
主要エンドポイントは、12週時点のUACR(zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン10mg群vs.ダパグリフロジン10mg+プラセボ群)の、ベースラインからの変化量であった。着目したイベントは体液貯留で、ベースラインからの体重増が3%以上(体内総水分量が2.5%以上であること)、または無作為化後のBNP値上昇が>100%、かつBNP値が>200pg/mL(心房細動が非併存)または>400pg/mL(同併存)と定義した。
12週時点のUACR、併用群で有意に低下
2021年4月28日~2023年1月17日に1,492例が適格とされた。主要解析では449例(30%)が無作為化され、そのうち447例(99%)が解析に含まれた。平均年齢62.8歳(SD 12.1)、138例(31%)が女性、305例(68%)が白人、平均eGFRは46.7mL/分/1.73m
2(SD 22.4)、UACR中央値は565.5mg/g(四分位範囲[IQR]:243.0~1,212.6)であった。447例の割り付けは、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群179例(40%)、zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン10mg群91例(20%)、ダパグリフロジン+プラセボ群177例(40%)。
試験期間を通して、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群とzibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン群は、ダパグリフロジン+プラセボ群と比較して、UACRの低下が認められた。
12週時点でダパグリフロジン+プラセボ群と比較したUACRの差は、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群は-33.7%(90%信頼区間[CI]:-42.5~-23.5、p<0.0001)、zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン群は-27.0%(-38.4~-13.6、p=0.0022)であった。
体液貯留は、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群で33/179例(18%)、zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン群で8/91例(9%)、ダパグリフロジン+プラセボ群14/177例(8%)で観察された。
(ケアネット)